遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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あいつが持ってきよる・電話してきよる。
使い方としてはこうであるが、じゃあ「きよる」ってどういうニュアンスなんだと聞かれるとはたと説明に窮す。
「きてくれる」ほど丁寧(感謝)でもないし「きやがる」ほど横柄(余計な)でもなし、単に「きた」では味気ない。少なくとも上から目線と取られるので知らない人とかに使うと偉そうにと思われるので使い方には注意が必要な言葉ではある。
「来て寄る(寄こす)・拠る・因る」の短縮で「きよる」とも勘繰れるが根拠は非常に薄い与太話し。
じじばばの「この忙しいだに孫が電話してきよる。」といった表迷惑内心嬉しいみたいな使い方が多いのであろうか。
他の言い方だと「持ってこす」・「電話してこす」(~くる)・「持ってきてよこす」・「電話してよこす」(~してくる)・「持ってくらっしゃる」・「電話してくらっしゃる」(~してくれる~して頂いた)・「持ってくりゃがる」・「電話してくりゃがる」・「持ってきてけつかる」・「電話してけつかる」(~しやがって)・「持ってきてけつかりゃあがる」・「電話してけつかりゃがる」(~してきやがる)などなどがある。
なお、「きよる」だけだと「着よる」と「来よる」のどちらとも聞こえるのであるが今話しているのは「来よる」の方。
例文
「なんでうさぎさんあっちばっか行ってこっちこんの?」
「餌とかくれてるもんであっちい行きよるだらあ。」
「なんかくれるもんないだけ。」
「ねえの。」
「そうだ。おべんとに人参入ってたでそれくれりゃこっちきよるらあ。」
「やあばかっつらあ自分嫌いで食いたくないだけじゃんか。そんな言い訳通用しんでねえ。」
例文音声はこちら
「きちきちやらんと気い済まん」
訳すと「きっちりやらなければ気が済まない」。
つまり意味として「きっちり」・「精一杯」・「きちんと」とかいったニュアンスで使われる場合が遠州弁にはあるということである。推測だが「きちんきちん」の省略された表現かと想像される。
「しゃきしゃき」や「はきはき」というテンポよくとかいうニュアンスではなく「手を緩めない」という意味合いが強い。
似たような表現で「はしはし」というのもあるが、比較すると「はしはし」は要領よくの意味合いが強く「きちきち」はより精確にという趣を感じる。
例文
「あの人と仕事すると疲れるやあ。」
(あの人と組むと疲れるんだよね。)
「なんで?」
(どうして?)
「あの人どこかしら手え抜くだいね。わしなんかきちきちやらんと気い済まんたちだもんでやっきりこくだよ。」
(あの人はどこかしら手を抜くんだよね。私はちゃんとやらないと気が済まない性質なんでむっとくるんだよね。)
例文音声はこちら
「よい」の記事でも書いた「着よい」(着易い)。
聞き様によっては「清い」とも聞こえる訳でこんがらがるボケもありうるなと。
例文
「これがんこ着よいで着てみい。」
(これとても着易いから着てみなよ。)
「どこが頑固に清いんですか?」
「どこがって。変な事ゆう人だやあ。なんしょ着てみいにそうすりゃ着よいのすぐ分かるでえ。」
(どこがって。可笑しな事言う人だねえ。とにかく着てみなよそうすれば実感出来るから。)
「・・・・着易いですけど、でも特に心が洗われるとか安らかになるとかにはならないですけど・・・。」
「なにゆってるよをあんた。変わった人だねえ服着て安気になる人なんて普通いんらあ。」
(あなた何言ってるの。変わってる人だねえ服着て安らかになる人なんて普通いないでしょう。)
「暗鬼ってそりゃ疑い深くなんかなることはないですけど。」
「ちんぷんかんぷんな講釈垂れてると嫌われるにい。」
(意味不明に理屈ばってたら人付き合い大変だよ。)
「はあそうですか・・・。」
「はあってなにが?」
(もうって何が?)
「え?」
例文音声はこちら
「きちんと」と言っている。場合によっては「きっちり」・「正確に」というニュアンスでも使われる。
ネットの辞書にも記載があるくらいだから共通語であろうが促音便を多用する遠州弁では「きちんと」よりも使用頻度が高いのが特徴か。それと「きちっと」と「きちんと」を使い分けてる節が見受けられるところもある。
「きっちり」を「きっちし」、「ばっちり」を「ばっちし」とかいうのとはもちろん別種であろうか。そう思えてくる理由は「きっちし」とかは若者が使うみたいな世代的な違いであって意味的にはほぼ変わらないのであるのに対し「きちっと」と「きちんと」は意味的な使い分けが存在していそうだからである。
一例として
「きちっとしなさい」だと正しなさいで姿勢や服装をといった見た目(外見)を指し
「きちんとしなさい」だと改めなさいで態度や与える印象をといった内面的なものを指す
みたいな違いか感じられなくもないところである。
共通語でもそういった受け取る印象の違いみたいなのが存在しているのか分からないが遠州ではそういう印象の違いで使い分けしてる感じがする。
「きちんと生きなさい」とは言うが「きちっと生きなさい」とは言わないといった具合に。
そういう傾向で似たような共通語には「しゃきっ」と「しゃきん」があろうか。
ちなみに「ちゃんと」(しっかり)というニュアンスは「きちっと」・「きちんと」どちらにも含まれていると思える。この意味使いにおいての使い分けは明確にはないだろうがそれでも
「マニュアル通りにきちんとやった」と「マニュアル通りにきちっとやった」とでは受ける印象はやはり違うのだろうな。
例文
「いつまでやってるよを。んなもんちゃちゃっとやっちゃやあいいじゃん。」
「そうゆうわけにゃいかんだよ。手え付けた以上きちっとやらんと気が済まん性格だもんでねえ。」
「そうゆう性格は他でやっとくりょ。」
例文音声はこちら
自分は使わないのでらしいという事しか言えないのだが
「きよる」の意味は「格好つける」ということらしい。
知らなかったからずうっと「気負う」と言ってるのかと思ってた。
「お~お~なんか高そな服着てえらいきよって、まあ。」
という文章、知識なしの頭で考えると判断が二通り湧くところ。
ひとつめは、「気負う」。いつも違う服着て随分と気張ってるじゃないかと判読できる。つまり気合が入ってるという意味かと。もしくは「気負いよる」の短縮形なのかなと。
気負うだから気張る・気合が入る・意識してるとかいう意味使いだろうと解釈していた。「格好つける」も近いものだから結果当たらずといえども遠からずであったのだが。
でもまあ気負うは悪い事ばかりに使われるものではないが格好つけるは褒め言葉に使われるためしが少ないだけにニュアンスは場合によっては大分異なるな。「頑張ったねえ」と感心してるのかと思ってたが冷やかしだったということで相槌の打ち方とか結構な勘違いしてたかも。
ふたつめは、「来よる」(来やがった)。別の言い方だと「来くさる」。高そうな服を着て豪勢に来たじゃないかとも判読できる。「ようやりよる」(よくやるよ)とかでの「よる」の使い方かなと。
実際のところは「きよった」とかでないとこうは判断しないけれどこう判断しても意味は大きく外れているが驚いてるというニュアンスということであれば左程とんちんかんではないか。
どちらにしても過去を振り返ってうまく相槌打ててたのかなというのが心配になってくる。
この「きよる」。遠州に於いてどの集落辺りで使われる言葉なんだろう。それとも自分が無知なだけか。
例文はよく知らない言葉なので間違った使い方になるといけないので略します。きよって書いて恥掻いてもねえ。今更だけど。