遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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物凄く・次から次へと・際限なく・とりとめなく・制御不能なくらい・ぼろぼろ。滅茶苦茶などなど訳すに色んな言葉に変換しないと意味が成り立たないという非常に汎用型で重宝な言葉である。これこそ遠州弁と言いたくなる表現である。
「雨んだあだあ」(雨が凄く降ってる)「雨馬鹿がんこ」という言い方も出来る。
「だあだあに落ちてきくさる」(際限なく落ちてきやがる)「落ちてきてきりんない」という言い方も出来る。
「はあ収拾つかんくてだあだあだあ」(もう収拾がつかなくてしっちゃかめっちゃかだよ)「はあくっちゃんくっちゃんでやっちゃおれん」という言い方も出来る。
「はあだあだあに遅れてる。」(もう物凄く遅れてる)「どがんこ馬鹿遅くてはあやんなる」という言い方も出来る。
というように他の言い回しも出来るのであるが、何が「だあだあ」かという風に使えば全てそのことが白旗状態だということが伝わるので楽なのである。
共通語で近いのは「だだ洩れ」・「だだっぴろい」とかで使われる「だだ」であろうか。ただ用途の広さは異なる。それと例えば「だだ洩れ」・「だだっぴろい」と言うのを遠州弁にすると「洩れてだあだあ」・「だあだあに広い」という風に言い回しが変わるので必ずしも置き換えてよしという訳ではない。
「だだ」=「だあだあ」というわけでもなく「だだ」の強調したものが「だあだあ」というものでもないような気がする。
例文
「あそこんさあ 行くに ちゃっと ポンポンで 飛んできゃあ ほんたあ あっちゅう間 だけえが 今 雨ん だあだあ だで 時間多いめに みとかんと かんかもしれんなあや。まあなんしょ はあ あれでえの。くろの方大分(だいぶん)水ん溜まってきてるで、しょんないだで慌てんと のんびり 行くだあれ。」
殆どまるまる遠州弁となっている。これが理解できれば相当なレベルということになるであろう。別に称号とかはないけど。
一応訳文
「あそこに行くのにバイクで飛ばしていけば普通なら直ぐ着くんだけど。今雨が強く降ってるから掛かる時間多めに見ておいたほうがいいだろうなあ。まあとにかくもう道路のはじっことかだいぶ水が溜まってきてるから急がずと慌てずゆっくりと行った方がいいと思うよ。」
例文音声はこちら
「だからそういうところが嫌い」という意味。「もう嫌んなっちゃう」というニュアンスで使われることも多い。
「だもんで嫌い」が短縮されて「だできらい」になったのであろう。「だから」という訳よりも「だものだから」という訳の方がすっきりする。
男女兼用の表現であるがどちらかというと女性の方が使用頻度が高いように思われる。ヒステリックな印象を受ける。ただし縁を切りたいとかいう使い方ではないのでカップルの間でこういう発言があっても「別れよう」とか「あんたは嫌い」とかいうことではない。
例文
「せっかく綺麗にしただにずかずかと裸足であがりくさってえ。」
(せっかく綺麗にしたのにずかずかと裸足で上がってきてもう。)
「元気な証拠じゃん。しょんないって。」
(元気な証拠だろ。しょうがないだろう。)
「何べんゆっても聞かんくて。も~、だできらい。」
(いくら言っても聞かないんだから厭になっちゃう。)
「当然だらあ。猫にそんなこんゆったってしょうがありもしん。」
(仕方ないだろ猫にそんなこと言ってもどうしようもないだろ。)
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「したない」だと「したくない」と言う意味になる。大分関西寄りの言葉であろうか。
使い分けは「したない」だと「したくない」で「したあない」だと「したくはない」であろうか。
「する」だけでなく「やる」だと「やりたない・やりたあない」・「持つ」だと「持ちたあない」という風に使われる言い回しであるが「持ちたない」という言い方は遠州ではあまり使わない。
なので「~たない」よりも「~たあない」の方が遠州弁っぽくなるのであろうと推測される。「したくない」で言えば「したない」だと「しんもん」と言い切る言い回しの方が多いのかもしれない。「したあない」だと「したくないんだよねえ」という願望が混ざった感じにも取れる。
例文
「わし近所付き合いしたあない。」
「そんなんじゃかんって。」
「別にしんくたって困りゃせんもん。」
「男衆はそれでええかもしれんけど女衆はそんなじゃやってけれんだにい。色んな付き合いせにゃかんだし持ち回りの当番だってなにかとあるだもんで。」
「ええよどこぞのアパートに住むで。」
「あんた嫁いってから苦労するにいそんなじゃあ。近所の衆らあなんのかんのうっとをしい時も多いけど旦那よりか頼りんなることだって結構あるだで。」
女性はおちおちひきこもりもやってられないみたいだ。
まあ昭和の話ですけど。
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「頼んだよ」・「頼むよお願いだから」とかいう意味使い。
命令口調ではなく懇願口調になることが多い。ただし下手に出ているとはいえ全幅の信頼を抱いてる訳ではない場合もある。
使用においては「たのむにいおい」と男女共に「おい」が付く使い方が非常に多い。この場合の「おい」のニュアンスは共通語でいうと「ねえ」となる。
「ちゃんとやってよ。ほんとたのむにい」だと「ほんとに大丈夫かよちゃんとやれるのか?」という訳になる。
「あたぁまかいたでたのむにい」だと「後は任せるからお願いね」という訳になる。
強気で物を頼むような場合は「たのむわあ」・「たのむでねえ」・「たのんでるだで」とかになることが多い。
「おーいたのむにい」となると「おーい勘弁してくれよちゃんとやって」・「頼むから真面目にやって」とかいう意味になる。
「ね~えたのむう」だと「お願いだから」という訳が分かりがいいか。
このように遠州では「お願い」=「頼む」であり、「お願い」という言い回しよりも「頼む」という言い方を多く使う種族ともいえる。
例文
「はあ忘れた。」
(もう忘れたよ。)
「ええ~でけんだ?」
(ええ~?出来ないの?)
「がんこ昔にやったっきりだもんででけるか自信ないやあ。まあやってみすけど。」
(大分昔にやっただけだからうまく出来るか自信ないなあ。ま、やってみるけど。)
「たのむにいおい。」
(不安だなあ。)
「でえ、このぼっちどっちおすだ?」
(それでこのボタンどっち押せばいいんだ?)
「お~い大丈夫けえ。」
(お~い大丈夫なのかい。)
「まかしょたあ言えんの。」
(安心しろとは言えないな。)
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「とは」の変化したもの。
遠州独特というものではなかろうが、頻度高め男女ともにという点が遠州の特徴といえなくもないか。
「いっしょくたあ」が「一色とは」とはならないようにすべて「たあ」=「とは」となるとは限らない。
「ゆわんかったたあいわしゃへんでねえ」(言わなかったとはいわせないからね)
といった使い方をする。すべてがこのように変化する訳ではなく
「とはいっても」を「たあゆっても」とは言わない。
例文
早い者勝ちの喧騒に包まれた限定品売り場にて
「あんたねえちったあ気い利かすなりして遠慮しない。いやったい。ないと困るもんじゃないだら?」
(あのねえ、ちょっとは気を利かすとかして遠慮しなよ。えげつないんだから。ないと困るものじゃないんでしょ?)
「あんた欲しくないもんでそんなこんゆうだけど、んなことゆったって限定だもんで遠慮なんかしてたら手に入らんかもしれんじゃん。」
(あなたは欲しくないからそんな事いえるんだろうけど、そんなこと言っても限定なんだから遠慮なんかしてたら手に入らないかもしれないじゃないの。)
「ほんとに必要なもんはなくなりゃせんよ。数限るっちゅうこたあなくてもとんじゃかないもんだらあ。」
(本当に必要な物はなくなったりなんかしないよ。数を限るってことはなくても不自由しない物なんでしょうに。)
「しょんないじゃん。欲しいだでえ。」
(しょうがないでしょ欲しいんだから。)
「まあせいぜい踊んない。」
(まあせいぜい踊らされてきなよ。)
「そんなあきれかあらんでもいいじゃん。」
(そんな呆れなくてもいいじゃないの。)
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