遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「菜っ葉」。辞書によると「野菜の葉・葉を食用とする野菜」とある。別に方言でもなんでもないところではあるが。
遠州で言う「なっぱ」とは大根の葉っぱとかほうれん草とかのイメージであって辞書にあるような広い総称という使い方はしていなかった気がする。もっとも昔の食糧事情からして豊富な種類が手に入るような生活をしていなかったせいでもあろうが。
インコの餌に「菜っ葉」というイメージが昔あったな。今はどうか知らないけれど。
白菜キャベツを菜っ葉と呼んでたか?ということでは白菜は言ってたかもだけどキャベツはどうだったかいやあといった程度で確信がないところではある。食べれる野草とかも菜っ葉と言っていたのであろうかも定かではない。
最近は浜松の農家さんがチンゲン菜とかの中国野菜とかを積極的に栽培してるとかで葉物の種類が相当数増えているので大雑把に「なっぱ」ではなんのこっちゃという事なんだろう。
それにしても最近言わないよなあと。もちろん日常の普段使いでの話しで専門職の方とかそれなりの齢を重ねた人達はまだ使っているのだが。まあ方言と言うより「昭和」の言い回しなんだろうな。
例文
「たっぱあになっぱいれっぱあにしてえ。もうほんとにい。」
(タッパーに菜っ葉入れっ放しにして。もうしょうがないんだから。)
「そんな怒らんだっていいじゃん。」
(そんな怒らないでよ。)
「なんでなっぱ食べんよを。せっかく作ってやってるだに。」
(どうして菜っ葉を食べないの?せっかく作ってあげてるのに。)
例文音声はこちら
「そうしない」(そうしなよ)とかいう使い方の「ない」。普通に考えると「無い」と打ち消しと聞こえるところであるが遠州弁においては指示・命令といった意味合いとして使われている。何故そうなるのか考えられるとしたら浮かぶ屁理屈はみっつ。
「まいか」が「まい」になるのとよく似ている。「まいか」が「まい」となることによって「~しようか」が「~しよう」というニュアンスに変わるように「ない」も「ないか」の「か」を抜いて「ない」とする事によって「~しないか」が「~しなよ」といった意味合いに変えたと想像できる。
もうひとつは、「な」+「い」。「そうしな」+「い」。「い」は軽い命令を表わすものであり命令+命令でより強調してるという想像。
残りのひとつは「なさい」の「さ」が抜けた言い方。もっとも「さい」=「い」と考えれば上と重なるのではあるが。
以上三通りの理由が考えられるところである。まだ他にもあるのかもしれないがとにかく推測であって正しいかどうかは定かではない。
「ない」は結構言われる方としては物言いは穏やかであっても誘い(要望)ではなく指示という感じがするので「な」+「い」の命令調という感じがするのであるが、「そうしな」の方が「そうしない」より強い指示に聞こえるので説得力は無いので「ないか」が「ない」に化けたと考える方がらしくはある。
例文
「荷物持ってきただけど。貰ってくれん?」
(荷物お届けにあがりました。受け取っていただけますか?)
「ああ、そこんさあにでも置いといてくれりゃええらあ。」
(ああ、そこら辺にでも置いといてくれればいいと思うよ。)
「ハンコ貰えんかねえ。」
(それでは受領印押していただけますか。)
「せっかくだでのんびりしてきない。」
(せっかくだから休んでいきなさいよ。)
「せっかくって、いや、わし急いでるだもんでそおゆうわけにもいかんだよを。」
(せっかくって。あのう私先を急ぎますのでそういう訳にもいかないんですよ。)
「まあそおゆわすとを。まあちっとすりゃあここの家の人来るだでここにいない。」
(まあまあそんな事言わないで。もう少しすればここの家の人が来るだろうから待ってなよ。)
「なによをあんたここの家の人じゃないだ?」
(え?お宅ここの家の方じゃないんですか?)
「隣のもんでえ。だもんでハンコ押していいもんかどうか微妙だいね。」
(隣に住んでるの。だからハンコ押していいもんかどうか微妙なんだよね。)
昭和ではごく日常的ともいえる光景。今じゃ考えられないか。
例文音声はこちら
「なんだよ」と言っている。「なにやあ」の記事でも書いたが基本女性言葉と思われるが男も使うにおいて違和感はないので男女共用な表現であろう。
なんとはなしに「この忙しいのに」といううっとおしさが隠されているというか籠められてると言うかそんな感じがする。
アクセント位置は「に」か「な」かになる二種類がある。女性は「な」で男は「に」とすることが多いのは気のせいか。
例文
「ほぉいぃ、ちょっとを。」
「なにい、今それどころじゃないで後にしてやあ。」
「後でいいならそうせるけどいちおおゆっとくね。」
「なによを。」
「チャック開いてるにい。」
例文音声はこちら
追記
「なんだよ」と言っている。男女共用。
ふてくされた・カチンときたみたいなニュアンスが籠もる。イントネーションが微妙に難しい。共通語では「ハア~ッ?」が近いニュアンスか。
国語的な分解ではなく発音するうえで分解すると「なに」+「い」ではなく「な」+「にい」で「な」を弱く「に」を強く言う。とにかくうざったく嫌そうに言うのがポイント。
えせ遠州弁だと「なんだにい」とかになるのかな全く通じないけど。
実際の遠州弁は「な」で「なんだ」を表わし「にい」は「よ」を表わして「なにい」=「なんだよ」となると解釈した方がすっきりする。
男言葉だと「なんだあ」・「なにや」
女性言葉だと「なによ」辺りであろうか。
例文
「おいなんだよそんなのやれって聞いてないぞ。」
「なにい こっちだって聞いちゃいんにい。」
(なんだよ。こっちだって聞いてないよ。)
「じゃなんで聞いてんでやってるだあ。」
(なら、どうして聞いてもいないのにやってるんだよ。)
「知らすけえ。わし来た時はあ前の衆やってただもんで。」
(知らないよ。おれが来たらもう前任者がやってたんだから。)
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「ありがとね。」とか「ありがとない。」と礼を言われての返し言葉。つまり「どういたしまして」という意味の言葉。
これはもう完全に遠州弁に於いて死語で、知り合いのばあばに教えて貰った言葉。私も初めて聞いた言い回しである。ばあばのお母さんが言ってたと言っていたのでおそらくは昭和の前半辺りごろまでの表現か。
それとばあばから教わったので女性言葉なのは確かなのだが男言葉もしくは男女共用言葉なのかまでは不明。
どの程度のエリアで使われていたのかも不明。ちなみにこの表現は積志近辺に住んでた頃の話しだそうな。
例文(想像で多分こうであろうと)
「あんた きんのう ありがとね。」
(奥さん昨日は有り難う。)
「なんのやぁれ。ところでなにが?」
(どういたしまして。ところでなにが?)
「いやだやあ覚えちゃいんだ?畑に植わっとった葱おすそ分けしてくれたじゃん。」
(もう。覚えてないの?畑で作ってた葱おすそ分けしてくれたじゃないの。)
「作り過ぎてうちじゃ喰いおせんだで腐らいちゃかんもんで貰ってくれてこっちん助かっただよを。」
(沢山出来て余ったから捨てるのも厭だったから貰ってくれてこっちが助かっただけだよ。)
「またなんかお返しするでねえ。」
(また近いうちにお礼するからね。)
「気いつかわんといて。ホントにい。」
(そんな気遣いいらないよ。)
もちろん奥さん同士の会話なのでこれで変に真に受けてお返ししなければ別の意味でのお返しが待ってる事になるのだろう。
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