遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
もちろん包茎といっている訳ではない。ああそうなの・そうかいと言う意味。語尾を上げれば疑問形となる。
男女共用の言葉なので遠州弁知らん衆だと女子が包茎と聞こえて抵抗感があるらしいが、繰り返すが包茎ではない。もちろんそう云う事を意識(誤解を招く)はしてるから若い女子はよほど気が弛まないと使わないが子供や年季の入った女性は気にせず使うことがある。代用としては「ほ~お」(語尾は上げる)・「そ~お」(語尾は上げる)・「そうけえ」とかがある。ただし若干疑問(懐疑)的ニュアンスを含むデメリットがある。
男は普通に使い、女子に向かってほうけえと連発しても別にセクハラなどではない。
例文
「今日は天気もちそうだなぁやあ。」
(今日は天気もちそうだね。)
「ほうけえ。にしちゃあ道ん濡れてるのは気のせいだか。」
(そうかあ?それにしては道が濡れてるけど気のせいか?)
「はあ止んでるし、じゅるくもないで通り雨だらあ。だでもう降りゃせんて。」
(もう止んでるし、ぬかるんでもいないから通り雨だろう。だからもう降らないって。)
「天気予報っつうのは見ん人?」
(天気予報は普段見ないの?)
「ヤン坊マン坊もソーセージおじさんもここんとこ見んなあそういえば。」
(そういえばテレビはここのところ見てないなあ。)
「ちったあ見といたほうがいいに。予報じゃ今夜だあだあだって。」
(少しは観た方がいいと思うよ。予報だと今夜大雨だって。)
「ほうけえ。そりゃまずいなあやあ。」
(そうなんだ。そりゃまずいなあ。)
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注、正しくはヤン坊マー坊だがこう間違えて記憶してる奴が実在したのでそれを使用。ソーセージおじさんはしぞ~か県民しか分からんか。
色々と使い方があってのその一部。
相槌の表現。「ああそうなの」・「ふ~ん」とかいった意味使い。
感嘆の表現。「本当なの?」・「え~?」とかいった意味合い。語尾が上がる。
嘆息の表現。「まったくう」・「も~」とかいう意味合い。
聞き役の相槌の場合、語尾が平坦なアクセントなら「ああそうなの」と素っ気無い返事。語尾の「に」が上がると「うそだろう」と信じていない不同意を表わすことになる。
共通語の「ほんとに」は感嘆使用とほぼ同じであろうが、相槌・嘆息使用は遠州独特やもしれぬ。でも関西弁の「ほんまに」の使い方とよく似てはいるので独特ではないのかもしれぬ。
例文
「明日雨降るだって。」
(明日は雨が降るんだって。)
「ほんとにい。ほいじゃ明日行くのやんぴにせるわ。」
(ああそうなの。それじゃあ明日行くのやめにするからね。)
「ほんとにい?うそだらあ!絶対行くっつってたじゃん。」
(えー!嘘でしょ!絶対行くって言ってたじゃない。)
「濡れたら困るっつってたのあんたじゃんかあ。」
「そんなこん言ったっけか。」
「確かにゆった。すっとぼけちゃかんてほんとにい。」
(確かに言った。とぼけないでよまったくもう。)
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意味としては、放置する・途中で止める・放る、などとなる。
「ほっぽりなげる」よりは程度は低い。「ほっぽりなげる」だと放棄する・放り投げるといった意味になる。
「ほうらかす」も放り投げるという意味で使われるが「ほっぽりなげる」よりは柔らかい表現になる。
似たような言い方としては「うっちゃる」・「うっちゃらかす」という言い方もあるが
こちの方が投げる・放棄とかいった感じでより強い表現となる。
例文
「あいつぁ仕事ほかいてどこん行きくさっただあ。」
(あいつは仕事放ってどこ行ったんだ。)
「そんだけじゃないにい。弁当喰いかけでそれんほっぽらかいてどっかとんでった。」
(それだけじゃないよ。お弁当食べてたけど置き去りにして急いでどこかに行っちゃった。)
「なにせい行っただかいやあ聞いちゃいんだ?」
(なにしに行ったんだ?聞いてないのか。)
「聞いちゃいんだわ。」
(聞いてないよ。)
「ま、帰ってきたら説教だの。」
(こりゃ戻ってきたら説教だな。)
「帰って来るかも怪しい勢いだったけど。」
「ほんとにけえ。」
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干しておくと言う意味。
「し」が「い」に変わると言う遠州弁の特徴である言い方。
言葉遊びとしては
「ほいほいほいほいちゃかんに」(ねえ、いい加減に干さないでよ。)
他には「出しておく」を「だいとく」・「回しておく」を「まわいとく」などなど。
例文
「あんた着たきり雀じゃないだで、洗うかなにかしなよ。」
「服じゃありもしんに。それにしょっちゅう使うだで使いたい時に使えんじゃ困るだあれ。別に汚くしてても死にゃあせんだでいいじゃんか。」
「ちゃっと洗やあ済むこんじゃん。かしない。」
「やだよを。」
「ほいじゃ天気いいでほいとくくらいしなよを。」
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放り投げると言う意味。軽度の遠州弁だと「ほっぽりなげる」。ただし広範囲の地域で使われている表現で遠州独特ではない。
「ほっぽる」は以前記事にもしたが「放る」という意味。
「ほうらかす」・「ほかしなげる」も「放り投げる」という意味で、この使い分けについては「ほっぽる」という表現の方が「ほうる」よりぞんざいに聞こえるので雑の度合いの違いであろうか。「ほかす」は打ち捨てるというイメージが強くなる。ただし放り投げる自体丁寧な扱いではないので五十歩百歩ではあるが。
「ほうる」だと上や遠くにに放り投げるイメージで「ほっぽる」だと下や近くに投げ出すイメージが湧く。それに「投げる」がつくと慌ててとかいやんなってみたいななにがしかの感情がこもる感じになるような気がする。
直接的な物を投げる行為以外にも仕事とか作業とかを放り投げるとかいう場合には「ほうらかす」ではなく「ほっぽりなげる」を使うことが多い。この場合同じ意味で「うっちゃる」・「うっちゃらかす」というのがある。
強度の遠州弁の場合は「ほっぽなげる」・「ほっぽらかす」・「ほっぽかす」と表現する。ただし「らかす」・「かす」は放るというより放置というニュアンスが強くなることがる。
合ってるかどうか自信が無いが、名古屋的だと「ほっぽらす」がらしい感じになる。遠州ではほとんどこの表現は使われない。
例文
「あんたあ仕事ほっぽなげてどこ行ってたよを。」
(あんた仕事そっちのけでどこ行ってたのよ。)
「なんか表どんちゃんしてたもんで見い行っただよを。」
(なにやら表が賑やかしいもんだから何事かと思って。)
「なにやってんだか。」
(なにしてんだか。)
「それがわからんだよを。人ん一杯でよを見えんくてやあ。なんしょ音だけなんかどんちゃんやってた。」
(それがさ。人が一杯でよく見えなくてねわかんないんだ。とにかく音だけは賑やかだった。)
「そんなねえ仕事うっちゃってまで見いいって何ん楽しいよを。」
(あのねえ仕事放り投げてまで見に行って何が楽しいの?)
「だで、見ちゃいんだで分からんだよを。」
(だから見えなかったから何楽しんでるのか分からないんだ。)
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こういう仕事しろよと言ってる人と行った出来事を説明しようとやっきになってる人との噛み合わない会話は第三者としては面白く聞き入ってしまって結構楽しい。