遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
ご存知名古屋の言い回し。遠州では「馬鹿・ど・がんこ」を使うのでこういった言い方はしない。
当然この上をいく「どえりゃあ・でえりゃあ」などは使う筈もなし。
「めちゃ・めっちゃ」といった関西風の言い方は若い衆は遠州においても使い、それの変形なのか
「めさ・めっさ」という言い回しも若い衆の間ではよく使われているようである。これについてはまだ流行の域であって方言といわれるためには今後数十年経過した後にあらゆる世代で使う(もしくは年代のある時期で必ず使う)ようになってからであろう。
例文
共通語
「あのさあ、なんかものすごく雲行きが怪しくない?直ぐに降りそうだよ。」
名古屋弁(違ってたらごめんなんしょ)
「あのよを、でえりゃあ雲行き怪しいなも。まあかんかしゃん。」
遠州弁では
「やあ、ばかに雲行きやばそうじゃん。はあもたんらあ。」
厳密な使い分けが存在している訳ではないが、遠州弁にも男女でその使う言葉が異なる。
例えば「ほい」。女性言葉で男は発するものではない。逆に「やあ」。男言葉で女性が発すると引く。
こうした言葉の違いというものもあるが、言い回しというものも男女によって異なる事が多々ある。それを男表現と女表現と呼ぶとして話しを進めるとして。
では具体例を挙げるとすると、大分極端ではあるが
共通語
「何言ってるんだ そんな事ある訳ないだろう。」
男表現の場合
「おんしゃあなにこいてるだあ ふんだだこたあらすかや。」
女性表現では
「あんたねえなにゆってるよを そんなこんある訳ないじゃん。」
とかになる。
私は男なのでどうしても男表現中心の説明になるのであるが、誰か女性表現での遠州弁講座とかを開いていただけないかと欲するものであります。
「なんしょ終わりゃいいだもんで」(とにかく終わればいいんだから)
という文章の最後に「さ」・「さっ」・「さあ」を付けるとどうニュアンスに変化が生じるのかというお話し。
「さ」は辞書によると終助詞、①相手に強く主張する気持ちを表わす。「そんな事当たり前さ」。②軽く言い放す気持ちを表わす。「まあいいさ」。③自分が直接経験しない事柄を説明したり紹介したりする気持ちを表わす。「やっぱりそうなんだってさ」。④強い質問、反ばくの意を表わす。「どこいってたのさ」。⑤{文節の切れ目につけて}語調を整えながら話す気持ちを表わす。「それがさ、まずいことにさ、なっちゃった」②③④が軽く添えるのに対し、①⑤は強く発音する。とある。
「なんしょ終わりゃいいだでさ」だと
「とにかく終わればいいんだからさ」。共通語であって方言性はない。①・②・③のどれでも対応していそうだ。で、これを基準とすると
「なんしょ終わりゃいいだでさあ」だと
「とにかく終わればいいんだからさあ」。これも共通語であって方言性はない。ニュアンスとしては甘えた印象を与える。①・②の使い方であろうか。
「なんしょ終わりゃいいだでさっ」だと
「とにかく終わればいいんだからな」辺りになるのであろうか。そんなこと大した事じゃないからと言ってる風にも取れる。③の使い方であろうか。
つまりいずれも説明できるということでこれに方言性は無いということになる。
これを「や・やあ・やっ」とするといきなし遠州弁になるだってや。っつうのは否定でけんとこである。
遠州弁を代表する言葉「だ・ら・に・い・だもんで・ほい(おい)・ほれ・やあ(やい)」
この中で他地方の人が苦労するのが「だら・だに・に・にい・ら・らあ」の使い分けと解釈であろう。えらそうな事をいうつもりはないが原住民としてはそれをどうアドバイスしたらよいかというのを考えてみることとする。
まずは、時の流れ的にいうと昔は(強引だけど)すべて「づら」で済ませていた。名詞だろうが動詞にだろうが構わず「づら」はつく。
「雨づら」だと(イントネーションで使い分けているのであるが)「雨だろう」・「雨だよ」・「雨だろ?」・「雨か」・「雨かい」・「雨だね」等など。
「雨づらか」だと「雨なのか」・「雨かあ」・「雨だなあ」等など。
それが最近は細かく分かれて「だら・だに・に・にい・ら・らあ」を使い分けるようになったという経緯のような気がする。したがって分からなかったらとにかく「づら」を使えば時代遅れと失笑を買う事にはなるが間違った使い方と指摘される事はなくなる筈である。多分。
でもまあ今の遠州弁を覚えようという意識がもしあるとしたらまずは以下の如くだと覚える事が初歩といえるのではなかろうか。(「にい」と「らあ」は難しいのでこの際省く。)
「に」→「よ」 行くに(行くよ)
「ら」→「でしょ」 行くら(行くでしょ)。共通語で近いのは「そうかしら」の「ら」。
「だに」→「のだよ」 行くだに(行くんだよ)
「だら」→「だろう」 行くだら(行くだろう)
厳密な根拠があって言う訳ではないが「だ」は確定を表わす。「に」は相手に押し付ける気持ち(軽い命令・指示)を表わす。「ら」は推量(憶測)を表わす。
もちろん
「に」→「のに」という使い方がある。 やれっちゅやあやったに(やれって言えばやったのに)。それんなんでゆわんかったよ(それをどうして言わなかったんだ?)。
なんにでも「に」がつくわけではない。名詞の後には「に」はつかず「だに」となるし、「降れ雨に」(降れ雨よ)とか「雨降れに」(雨降れよ)・「今日来いに」(今日来いよ)とかいう事にはならない。(正しくは「降れ雨やあ」・「雨降れって」・「今日来ない」)
「ら」→「ろう」(らう・らむ)
「だに」→「だのに」 せっかく来ただに(せっかく来たのだのに)。はあ帰れってか(もう帰れってか)。
「だら」→「だろうに」 そうゆうもんだら(そういうものだろうに)違うか?(違ってるか?)
などといった微妙な意味使いの違い・ルールもあるので確定だ推測だとかいう論法では収まらないものとかが出てくるのだがそれを理解するのは中級クラスでと勝手に決めるとして。
とにかくとりあえず「よ」・「でしょ・だろ」・「だよ」・「だろう」と覚えればヒアリングに関してはとっつき易いのではなかろうか。
発言するにおいて注意すべき点は語尾を安易に伸ばさない事(長音化させない事)。ニュアンスが大きく変わってしまう。特に「にい」の場合には言い方(長音化ではなく「い」を強く発音する)によっては強い命令形となってしまう事があるので配慮が必要である。
もちろん喧嘩売るつもりでいるのならどれでも伸ばして言えば大抵なめた物言いとなるので本意とはなるが。
些細な違いなんだろうけどちと気になったので。
テレビ見てたら「赤じそ」を紹介しそれを使った料理も紹介・試食されていた。
その際一部始終アナウンサーさんは「赤しそ」と発しておられた。テロップも「赤しそ」であった。
うちらの感覚だと「赤じそ」なんだけどなあと。
これって些細な方言になるのかしらん。