遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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言ってやった・言ってしまった・言っていたという複数の意味を持つ表現であるがこのふたつの表現の違いは微妙でどうその違いを表現すればいいのか噛み砕けない。
関西系の表現であろうから特に遠州弁ということでもないのだろうがよく使うので一応記載。
名古屋の方だと「いってまった」とかになるのであろうか。
例文
「あいつえらそうこいてるもんでゆったった。」
(あいつ生意気だから言ってやった。)
「なんてえ。」
(なんて言ったの?)
「お前なんかいらん子だで帰れって。」
(お前なんかいても仕方ないから帰れって。)
「説得力ねえなあやあ。家じゃないだで。会社だにいこかあ。」
(説得力無いなあ。家じゃあるまいし。ここは会社だよ。)
「だってえ、そうゆうたったらしょげてたにい。効果ちったああったら。」
(だってそう言ったらしょげてたよ。少しは効果あったんじゃないかな。)
「なんの効果でえ。アホには近づかんようにって思われただけだらあ。」
(どういう効果だよ。アホには近づかないようにって気味悪がれただけだろ。)
特に方言ということではないのだろうが、良くそんなことが言えるよねえと言う意味。発言に対して反論的なニュアンスとなるというか呆れてる。反対語は「そーいわすと」(そんなこと言わないで)。
「よをこくわ」・「よをぬかすわ」という言い方もある。
おそらくは関西系の表現なんだろうな。関東系だと「てやんでえ」・「冗談はよせ」とかになるのかな。因みにそういう意味使いでの関東系の遠州弁だと「よくゆうよ」・「馬鹿こいちゃかん」・「嘘こくな」・「しらじらしい」・「いけしゃあしゃあと」とかがある。
例文
壇上での偉いさん「私がここまでこれたのも皆様方のお陰と感謝しております。」
後ろの末席で聞いてる列席者A「よをゆうわ。さんざっぱら人蹴散らかいてあそこまで登りつめた癖してえ。」
同じくB「確かにっ。人の屍乗り越えて来たっつう自画自賛だらあなあ。」
偉いさん「今後より一層の発展をするためにも今まで以上に皆様方のご支援とご協力を・・・・」
A「おいおいまだ人こき使って絞り取ろうってか。こっちゃぁ女房子供にすねかじられっぱなしではあなんも出んにい。ホントよをゆうわな。感心しちゃうわ。」
B「肉食なんだよ多分。人の生き血すすらんと活力出んだらあ。」
A「わしゃ栄養ドリンクすすらんとはあなんも出んっつうになあ。」
B「そうけえ。愚痴はさっきいからバカスカ出てるじゃん。」
A「ガスでえガス。抜かんとのっ。詰まっちゃうで。」
B「身が出んようにのっ。」
そんな彼らの後ろには会場の模様を写そうとビデオカメラが静かに回っていた。まさに知らぬが仏。(って意味使い間違ってるか。)
どちらも、たくさんと言う意味で使われている。別に遠州弁ではないが普段よく使っているので一応記載。遠州弁っぽくいうとすれば「がんこ」がらしいのかもしれない。
「ようけ」はなんとなく関西っぽい感じがする。「たんと」は関東っぽい感じがする。どちらも使うのが遠州である。
殆ど意味に違いはないのだが、聞こえる感覚でいうと、「ようけ」は余分・過剰に、「たんと」は過分に(身に余る)といった違いに聞こえることがある。
まあ実際のところは「ようけお食べ。」・「たんとお食べ。」・「がんこ食いない。」と並べてみればそんな違いはないのだが、「たんと」はあげる(贈呈・進呈)に便利な表現で「ようけ食ったしい」・「がんこ喰われた」みたいに単純に量を表現するのに適した表現のような気も個人的にはする。
尚、いづれの解釈も遠州での話しであって地域によって感覚は当然異なると思われる。
車の名前で「タント」というのがあるが「タント一台」とか言われると「一台でたんとかい。」とつっこみたくなる衝動に駆られなくもない。
それと「ようけ」には「よくぞ」・「遠路遥遥」みたいな「ようけ来たなや」(よく来たなあ)とかいう使い方が別にある。こういう使い方は「がんこ」も同様にあるが「たんと」にはこういった意味使いはない。
例文
「開店30分前だけど、どう?お客さん。来てくれてるだかいやあ。」
(開店30分前だけどお客さんの来具合はどう?来てくれてるかなあ。)
「見てみっせえ。」
(見てみなよ)
「うわ~がんこ並んでるしい。」
(うわ~一杯に人が並んでるなあ。)
「おお、ようけ並んどるらあ。整理ん大変だにい。」
(そうだろ?よくぞ並んでくれたよ。こりゃ整理誘導が大変だぞ。)
「こんだけたんと来てくれただでなんか粗品かなんか付けんとかんかな。」
(これだけ大勢来てくれたならなんか粗品出した方がいいかな。)
「ふんだだこんよりちゃちゃっと捌く方が喜ばれるって。」
(そんなことより迅速な対応した方が喜ばれるって。)
「破く」という意味。「ん」が混ざっただけのお話しで意味的に特にどうということはないが。
「デブ」を「でんぶう」・「甘い」を「あんまい」・「うまい」を「うんまい」とかいう癖のようなものである。さすがに「たまり醤油」を「たんまり醤油」とかは言わないが。
遠州独特かは定かではない。
例文
「聞いてる?大事なもんだで、あっちの部屋入ってって やんぶいたり したら承知しんでねえ。判ったぁ?」
(ちゃんと聞いてよ。大事なものなんだからあっちの部屋に入り込んで破いたりなんかしたら許さないからね。分かった?)
「猫にゆったって判るわきゃあねえらあ。」
(そんなこと猫に言いきかせても無理だろ。)
「あんたあにいってるだよ。要はこっちの部屋に入れるじゃないっつってんの。」
(あんたに言ってるの。とにかくこっちの部屋には入れるなって。)
「わしそんなこんしもせんにい。猫ん勝手で行くだでねえ。」
(おれはそんなことしないよ。猫が勝手に行くんだからおれのせいじゃない。)
「なにゆってるよを。開いてるもんで入るじゃん。そこらじゅう開けたら開けっ放しにせすもんでやっきりこくだよ。開けたら締めよっつってんの。」
(いい訳するんじゃないの。開いてるから入れるんでしょ。そこいらじゅう開けたら開けっ放しにするから怒れるの。開けたら締めなさいって言ってるの。)
例文音声はこちら
なんか遠州弁の代名詞みたいな扱いになってる言葉。全国的に紹介されてるのは躊躇するならまずやってみようみたいなぶつくさ言わずにとにかくやろうよといったニュアンスの言葉として紹介されているものであるが、地元民が実際に使ってるニュアンスとしてはオレもやるからお前もやれよという時に使われる言葉。ニュアンスで訳せば「お~いやるよー」ってな感じか。
ではその他はどうかというと(あくまで一例)
シンプルにやるよ・始めるよという時には
「やらまい」・「やるにい」・「やらざあ」(ただし駿河ではニュアンスが異なる)
お前に替わってオレがやるという時には
「やらしょ」(やらせろ)・「やらしょやあ」(やらせてくれ)
オレはやらんけどお前やれという時には
「やりない」(やんなよ)・「まかいた」(任せた)・「やりい」(やれよ)
お前やってくれないかという時には
「やらんかねえ」(やらないかなあ)・「やらんだかねえ」(やらないのかねえ)・「頼まれてくれんかねえ」(頼みがあるんだけど)・「あのやあ」(言いにくいんだけど)
おねだり調の時には
「やらまいやあ」(やろうよう)・「やらまいにい」・「やるかあ」
「やらまい」と「やらまいか」の違いは微妙で殆ど使い方に違いがある訳ではないが「か」を足した分「やるぞ」と「やろうよ」といった言い方みたいな差が生じる感じである。
「やらまい」と言われると「嫌だよ」と言い返せるが「やらまいか」と言われて「嫌だよ」というのは若干気が引けるのは確かであろう。だからといって、「やらまいか」といわれて「NO」とは言えない訳では決してない。
例文1
「やあおめえ、荷物の搬入がんこ遅かったじゃんかあ。こんなじゃ今日中に終わらんでえ。」
(お~い。荷物の搬入がえらく遅かったじゃないか。こんな状況じゃあ今日中になんか終わらないぞ。)
「まあ、そをゆわすとを。やらにゃ始まらんだでなんしょやらまいかあ。」
(まあまあそんな事言わないで。とにかく始めないとどうしようもないんだからやろうよ。)
この例文のように具体的な解決策が見出せない場合とかにとりあえず始めようというある種の根性論を説くといった使い方をすることがある。
例文2
「おーいそろそろ時間だでやらまい。」
(おーいそろそろ時間になるからやるぞう。)
「なにょこくだあ。そろそろってまだ時間前じゃんかあ。」
(なに言ってんだ。そろそろってまだ時間前じゃないかあ。)
「んなことゆわすとを、ちゃちゃっとやってちゃっちゃと終わらまいかあ。そうすりゃあ早く戻れるにい。」
(そんな事言わないでさあ。パパッとやってさっさと終わらせようよ。そうすれば早く戻れるんだから。)
「しょんねえなや。ちゃっと戻っていいことあるだあ。」
(しょうがないなあ。ところで早く戻っていいことがあるのか?)
「いやまだ他にも仕事あるでやあ。」
(いや。まだ他にも仕事があるからさ。)
「なら休ましょうやあ。ばかっつら。」
(それなら休ませろよ。この野郎。)
ここでは「やらまい」を使ったので反論された。もし「やらまいか」を使っていたら「どうして?」というとこに飛ぶ会話となる。
例文音声はこちら
共通語の「まい」という表現の使い方だと
「二度とやるまいと誓う」みたいな意思の表れであり、辞書によると「何かをしないという主体の意思を表わす・そうではないと推量想像することを表わす」といった打消しの表現だそうな。これと遠州弁の「まい」は異なる。
遠州弁での「まい」は打消しではなくシンプルに意思の表れという使い方で、むしろ古語辞典に記載されている「まいか」まいに終助詞「か」のついたもの。意味は「婉曲に希望し、勧誘する意を表わす・強く命令する意を表わす」と記載されており、ニュアンスが近いので多分古語の生き残りであろう可能性が高い気がする「やらまいか」という言葉である。
それでいて「やるまいか」なると「やらないぞ」という言い方になるのはご愛嬌。もっともこんな言い方普段する人はいないが。