遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「随分」・「相当に」などという類の事を言っている。「久方振り」という使い方をする時もある。「時間が掛かる」ということを言いたい場合に使われる表現。
「やっと」の強調形などではなく使い方が異なる。例えば「バスがやっと来た」を「バスんやあ~っと来た」とは言わない。
男女共用。イントネーションに特徴があるのだが説明するのが難しいのでパス。遠州弁の使い手に聞いてくださいな。
例文
「あれえ。やあ~っと見んと思ったら。どっか行ってただ?」
「なに?ゆってったじゃん旅行いかすでねって。」
「そうだっけか。いつゆったあ?」
「なにゆってるよを。出掛けにゆったにい。」
「いつう。」
「先々週の金曜。」
「そん時わしなにしてたあ?」
「しらんよをひとのこんなんかいちいち覚えちゃいんて。」
「ふ~んまあいいわ。で?」
「なによをで?って」
「お土産は?」
「あらすかあ。」
「アラスカ行ったあ。そんじゃなんもないとこだで土産はないだか。しょんねえの。でもアラスカじゃあやあ~っと掛かるだらあ。行って帰っただけけえ。」
「あんたねえボケんのもいい加減にしなよ。」
例文音声はこちら
「やあっと」で言う「随分」とはどのくらいの間の事を指すのかというと
環境や個人差もあろうから一概にはこうだとは言えないとことであるが
「暫く振り」・「ちょっとの間」とかいう時には使われることはないというのは確かであろうか。
「山の住人(民)」ということであるのだが使う上で判断が難しい言葉であるような気がする。
「山家」と書けば「山の中の家・山村」という意味と辞書にある。「山処」と書いて「やまが」と読むこともあるそうな。
「山禍」と書けば「士農工商の身分制度でのどの身分にも属さずに山の中で暮らした一族」といった説明がなされてたりする定住しない流浪の人々といったものか。
「山家」のつもりならなんら心置きなく「あんたやまがの衆けえ」(あなたは山家の人かい?)とか使えるのであるが。
「山禍」だと身分制度に起因する差別用語的要素が濃くなり発するに躊躇することとなる。共通語では「さんが」と読むらしいが私の覚えではここいら辺ではそれを必ずしもではないが「やまが」と読んでいる。これが誤ってこうなったのかどうかは定かではない。
したがってたとえ「山家」のつもりで言っても「山禍」と受け取られかねない行き違いとかもあるだろうし。
話しが脱線するが、「山屋」(やまや)だと登山を悦とする人のことを指す場合もあって「あんたも好きねえ」と小馬鹿にしても問題ないというかむしろ言われて喜ばれるお褒めの言葉となることもある。脱線するけど「登山家」というくらいだからそれをはしょって「山家」とするのが普通だと思えるのだがそれを「屋」とするとはなんででしょうねえ。先に述べた「山家」と読みは違うが書くと同じになるからそれと混同しない為なのか、それとも「屋号」とすることで生業(なりわい)つまり生きがいと称するとかなんでしょうか。
「山師」であれば山に入って猟などの仕事をする人。鉱物を掘り出す作業をする人。使いどころは全く異なるが投機・冒険をする人。とある。
「山持ち」となればおだいさまだよな。
話しを元に戻して、「山家」・「山禍」いずれも方言とかではなく古い共通語なのであろうが、遠州弁は古い言葉を未だに使い続けているという特徴を有しており、昔ながらだと今では思いやりといった配慮に欠ける言葉となるものも時々生き続けてる場合もあって、微妙である訳なのであります。
詰まるところ今の世に置いては使うには適さない言葉というのが無難なのでありましょうや。
実際のところはこういう場合「山の衆」とか「山の出」(出身の出)とかが遠州では一般的に使われていると思われるので死語であろうが。
物凄い些細な違いなのだが、共通語的には「やっとこ」と言うんだそうな。
「やっとこ」の意味は、かろうじて。ようやく。といったものである。
遠州では「やっとこさ」・「ようやっと」であるので「やっとこ」だと凄く物足りない感じがするところである。
もちろん「やっとこさ」が遠州弁であるということはなく、むしろ「やっとこ」なんて普通言わないというとこに地域性があるんだろうなと思って記載。
っていうか、おもちゃのマーチの歌詞で
「やっとこやっとこ飛び出した」ってのはあれか?
「ようやくようやく飛び出した」って言ってるのか?
ずうっと「やっ!」とかな掛け声発しつつ飛び出したと勢いを表わして言ってるのかと勘違いしてたようだ私。
まあそんな道草はともかく、全国的には「やっとこ」と「やっとこさ」はどういう分布になってるんだろう。ネットでみる限りでは甲州・京言葉・大阪弁として載っているのを見かけたが。遠州も「やっとこさ」表現の地域であることは間違いないであろう。
例文
「やあ。やっとこさ着いたあ。どえらいやあ。はあ死ぬう。」
(あ~あようやっと着いたあ。はあしんど。もう駄目。)
「お疲れさんねえ。ちいと休んだら運んできた荷物全部小屋ん中入れとくりょう。」
(ご苦労さん。少し休んだら運んできた荷物全部小屋の中に入れてくれ。)
「お~い殺す気かあ?」
(何それ?こき使いすぎじゃないの?死んじゃうよ。)
「死んでからゆえやあ。そうゆう泣き言わあ。一雨きそうだでちゃっとやらんとかんだあ。」
(そういう泣き言は死んでから言え。一雨来そうなんだから直ぐにやらないといけないのっ。)
「鬼い。」
(あんたは鬼だ。)
「よおゆわれる。」
(よく言われる。)
遠州弁でよく使われる言葉。例えば「やあ行って来いやあ」という言い回し、ここでは「やあ」がふたつある。これは繰り返しか別物なのかとかいうどうでもいい細かい話し。自分の言葉では説明が上手くできないので辞書等の小難しい理屈を引用してみる。
古語辞典によると
「や」{感動詞}①呼びかけに用いる。②驚いたとこ、また、思いついたときに用いる。③はやし声または掛け声。
「や」{間投助詞}①感動・詠嘆を表わす。②問いを表わす。③呼びかけの意を表わす。④和歌・俳句などで、音の調子を整えるために添える。⑤事物を列挙していう。
「や」{近世語}「ある」の転と考えられる助動詞「やる」の命令形、「やれ」のの略。軽い敬意を含んだ命令を表わす。・・・なさい。
「やあ」{感動詞}感動詞「や」に同じ。掛け声。呼びかけにいう。
「やい」{終助詞}感動を持って強く呼びかける語。
「やい」{近世語}「ある」の転と考えられる助動詞「やる」の命令形、「やれ」のの略か。軽い敬意を含んだ命令を表わす。
国語辞典から該当しそうなのは
「や」{終助詞}①同輩・目下の者を軽く促す気持ちを表わす。②自分自身に言い聞かせるな気持ちを表わす。③名前の後に付けて、呼びかけることを表わす。④{雅語}感動の気持ちを込めて文を終止したり、その言葉を述べることを表わす。
「やあ」{感動詞}①驚いた時、呼びかける時などに出す声。②かけ声
「やい」{感動詞}(俗語)ぞんざいに呼びかける言葉
以上ほぼ丸写しした辞書で説明されてる事から考えると、例文を変えて遠州弁の「やあど痛いやあ」(うわあ、凄く痛いよを)は古語的には「や、ど痛いや」{感動詞・間投助詞}もしくは「や、ど痛いやい」{感動詞・終助詞}ということになるのであろうか。国語辞典で当てはめると少しニュアンスがずれるような気がする。呼びかけるは当てはまるけど掛け声でもないしぞんざいでもない。
「行って来いやあ」(いってこいやあ)だと「行って来や」(いってきや){近世語のや}なのかな。「いってこ」(行ってきなさい)という言い方もあるので「きや」でなく「いってこや」かもしれない。
そんなこんなで遠州弁の「やあ」は「やー」といった長音化ではなく「やあ」であり、古語辞典にある「や・やあ・やい」と同じと考えた方がしっくりくるところであり、「やあ行ってこいやあ」でのそれぞれの「やあ」は異なる言葉であるということが言える。気がする。
国語辞典での解釈で言えば粗雑な表現という解釈になるが古語辞典からの解釈をもってすれば粗野な方言ではないということになる。他の地域の人がどう捉えるかは置いといて遠州人からしてみればぞんざいな物言いという意識では使ってはいないので国語辞典の解釈ということではなかろう。
かくして遠州弁は汚い言葉などではなく古い日本語を使っている昔ながらの日本語なんだと言い訳が出来る次第。という自分達(遠州人)にとって都合のいい解釈。
辞書にあるくらいだからこれは共通語であるが微妙にニュアンスが異なるので記載。
辞書には「やけに」{副詞・俗語}程度がひどくて、もう我慢が出来なくなる様子。やたらに。「やたらに暑いね」
遠州弁では「妙に」というニュアンスで使われるところが異なるところである。ちなみに辞書での「やけに」の意味だと遠州弁では「やたらと」を使う事が多い。
「やけに暑いね」だとその訳は「妙に暑いね」となる。つまりいつもと違うねという意であり我慢出来ないと言ってる訳では必ずしもないのである。
ただ疑問なのは「なんだかやけに暑いね」とかいう言い方は共通語ではしないのだろうかという事。なんかしてる気がするのは気のせいか。
まあとにかく辞書の意とは異なるので遠州弁として記載しました。
要は遠州弁での「やけに」は「妙に」・「なんか」などといったレベルで決して我慢できない訳ではなく気になる程度でという意で使われているということ。「やけに」の「に」は音便化で「ん」に変化して使われることが多い。
程度でいえば
なんか(なんとなく)<やけに(妙に)<やたらと<だいぶ(相当)<えらい(大層)<がんこ(非常に)<ばか(とてつもなく)
おそらくは遠州に限らず広範囲でこういう使い方をしているのであろうが俗語扱いということで辞書には記載されていないだけだろうと推測するところです。
例文1
「奥さんおいでる?」
「あら奥さん久しぶりじゃん。元気してたあ?」
「おかげさんでなんとか息してるわ。でも今日はあれだねえやけん蒸すねえ。」
「そうだよねえ。まだ梅雨入りしてんにねえ。」
例文2
「今日はわしおごっちゃるでたんと飲みない。」
「どうしたでえやけん今日は太っ腹じゃんか。」
「そこんさあで一万円拾ったもんでやあ。」
「そりゃまずいらあ。警察届けにゃかんらあ。」