遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「やるわ」と言っている。特に方言というほどのことでもないが。頻度が高いとこが地域性かなと思って記載。
これ単体で言うと、「あげるよ」とか「あげる」というニュアンスよりも「くれてやらあ」という略形であろう「もってけ泥棒」的踏ん切りを感じる言い回しとなる。といっても別にくれる事に対して名残惜しい(もったいない)がここはひとつ潔くとかいう訳ではないのだが。とにかくきっぱり感というか気前の良さがが強調される言い回しである。若干上から目線という感じはあるが好意の方が上に立つので上から度合いは非常に薄めである。
近い言葉で「やるにい」というのがあるがこれは「あげるよどうする?」という問いかけの要素があるのでちゃきちゃき感はない。
「やるわ」という言い方もよく使われるが「やらあ」の方が勢いが強いのと「やるわ」の方が上から目線を感じる。
例文
「それいいなあ。馬鹿便利そうじゃん。」
「なによを欲しいだけえ。欲しけりゃやらあ。」
「いや別にねだった訳じゃないだけえが。」
「なにいお世辞けえ。」
「いやそんなこたねえよ。便利そうだと思ってるよを。ホントだにい。」
単体ではなく例えば「そうしてやらあ」となると「そうしてやるわ・くれるわ」とかいった感じで横柄もしくは上から目線といった言い回しになる。
「大分痛んだ」とか「使い古した」とかいう意味で使われている。
辞書とかでは
「やれ」(破れ)①やぶれ(ること)。やぶれた・所。②刷りそこなったりしてだめになった印刷物。
とある。
遠州弁ではあからさまな「やぶれ」の状況とかを指すわけではなく「使い込んだ」というニュアンスが多く含まれる。といったところが共通語との違いであろうか。
例文
「どうよこのぽんぽんいいらあ?だで高く買ってやあ。」
(どうですかいいでしょうこのオートバイ。なので高く買ってよ。)
「つったって見た目がんこやれてるじゃん。」
(そんなこと言っても見た感じ相当使い込んでるじゃないですか。)
「通勤で毎日乗ってただもんでみばあよかないかもしれんがエンジンは快調だにい。」
(毎日通勤で乗っていたから見た目は良くないかもしれないけどエンジンは快調なんだよ。)
「中古で売るにゃあ厳しいみばあしてるで、部品取りでしか値を付けれんやあ。」
(中古車として売るには厳しい見た目なんで、部品取りとしてしか値を付けられないなあ。)
「そうゆわすとを。なんとか頼むやあ。」
(そんなこと言わないでさあ。何とか頼むよ。)
例文音声はこちら
以前記事にした「やれやれ」という意味使いの「やいやい」とは別物。
「やいのやいの」と同じ意味だと思われる。まあ広い地域で使われている言い回しであろうが遠州では「やいのやいの」よりも「やいやい」を使うほうが多いという事で記載。男女共用。
「やいやいいわれてやいやいだの」(やいのやいの言われてやれやれだよ)
という言葉遊びも成り立つ。
「やいやい」に近い言葉では「ひゃあひゃあ」があるが「やいやい」は忠告・指示といった勢いであることに対して「ひゃあひゃあ」は文句・叱咤という感情的な勢いが籠もるという違いであろうか。もちろん受け取る方がどう聞こえるかという事であるので同じことを言っても「ひゃあひゃあ」と取られるか「やいやい」と取られるかは定かではない。
他には「ぎゃーつく」・「ぐつぐつ」・「ぶちぶち」・「うだうだ」・「ぐだぐだ」・「ぐでぐで」などがある。違いを説明してくと長くなるので紹介だけで。
例文
A「ほ~いちょっと駄目じゃん。」
B「そうじゃなくて先にあれしな。」
C「あれえ これもしんとかんじゃん。」
D「うっさいなあ。そんな周りからやいやい言われちゃ集中できんじゃんかあ。」
A「おんめえとろくさくて見てれんもんでじゃん。」
D「いらんこんじゃん。」
C「馬鹿こいちゃかんてそれんうまくできんと後の衆皆困るだでねえ。」
例文音声はこちら
「寄り合い」。
相談のための集まり、会合。と辞書には書かれてある。
方言などではない共通語であるが、多くの地域では死語になりつつあろうが遠州ではピンピンしていて現役としてしょっちゅう使われる表現ということで記載。
若い衆はさすがに使わないがそれでもそういう歳になれば自然と使うようになる表現である。男女共用の表現。
昔はPTAとかでの会合や何かの意見交換会とかなども「よりあい」と表現していたが、最近は使用範囲が町内会とかで使われる程度に縮小されてるといった使用年齢が上がってきてはいる。長い付き合いとかではなくなったからという事もあろうが、とにかく親しさが薄いような会合などでは使わなくなってきている表現であろう。
集会所というより寄り合い所という方がなんかしっくりくるのは気のせいか。さすがに詰め所という言い方をすることはもう聞かないが。
例文
「今日町内会の寄り合いあるでその時間出かけるでねえ。」
(今日町内会の会合があるからその時間になったら出掛けるからね。)
「飯わあ。」
(ご飯は?)
「作ってる間んないでなんか取りない。」
(作ってる時間がないから何か出前で済ませて。)
「じゃあ寿司にせっかな。せっかくだで。」
(それじゃあせっかくだからお寿司にしようかな。)
「ばかっつら。なにがせっかくよを怒れるう。こっちは付き合いで好きで行くじゃないだに。」
(ちょっとぉ、せっかくだからってどういう意味よ。こっちは付き合いで渋々出席するっていうのに。)
例文音声はこちら
「よを」を共通語に訳すのは正直むつかしいところである。
遠州弁においては「やあ」=「よを」で「やあ」が男及びおばあさ言葉であることに対して「よを」は男も使うが基本女性言葉であるということである。
「どうかと思うよ」という言葉を例にすると
「どうかと思うやあ」が基本男言葉(女性も使うが)で「どうかと思うよを」が女言葉となる。
名古屋言葉の「ハヤシもあるでよを」・「だからよを」とかいったものとは別種だと思われるのだが男が使う「よを」に関しては名古屋言葉とほぼ同じでありこれがややこしい話しになっているような気がしないでもない。
しかしながらあくまで遠州弁の女言葉の「よを」はそれとは異なるものであることは疑いようがないところである。
遠州弁における「よを」は色んな意味使いで使われるのでこういう意味だと断定が出来ないところであるが幾つか例を挙げていくことにする。もちろん全てを網羅するものではないのであしからず。
「それよりかこっちの方がいいよを」(それよりもこっちの方がいいなあ)
この場合、わあ<よを<にい<でねえ<だ<だあ の順で強めになっていく。
「ほいじゃあわし先いくよを」(それじゃあ私が先に行くからね)
この場合、でえ<よを<わあ<わ<にい<に
「そうしんとかんだよを。当然じゃん」(そうしないといけないでしょう。当然でしょ?)
この場合、だらあ<だよを<だにい<じゃん<てえ<だでねえ
追記
ひとくちに「よを」といっても「あのよを」=「あのさあ」・「だでよを」=「だからさあ」といったように「よを」=「さあ」であると断言して訳せないのが遠州弁の「よを」。というのも
「痛いなあ何するよを」(痛いじゃないかなにをするんだ)
「何よをそれ、どこのよを」(何だいそれは、どこのなの?)
「もちろん見い行くよを」(もちろん見に行くさ)
「そっちん方がいいよを」(そっちの方がいいんだけど)
といった風に「よを」を訳すとこうであるという決まった語句にならない。もしかしたら同音で違う言葉に分けられるのかもしれない。
つまり共通語の「よう」と遠州弁の「よを」は異なるものである。
話しの向きをちょっと変えて
「それよりかこっちの方がいいよを」(それよりもこっちの方がいいなあ)
この場合、置き換えの表現としては
だん=けえが<わあ<よを<にい<でねえ<だ<だあ の順で強めになっていく。
「ほいじゃあわし先いくよを」(それじゃあ私が先に行くからね)
この場合、でえ<よを<わあ<わ<にい<に
「そうしんとかんだよを。当然じゃん」(そうしないといけないでしょう。当然でしょ?)
この場合、だらあ<だよを<だにい<じゃん<てえ<だでねえといった順になる。