遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
代えに行く・交換しに行くとかいう意味。「に」が「え」に変わった表現。
「着替えに行く」だと「服かええいく」となる。
全ての表現が「え」に変化するのではなく「買いに行く」だと「買いい行く」・「壊しに行く」だと「壊しい行く」と言う風に前の母音と関わって変わると思われる。こういうのを長音化というのかどうかは定かではない。
効能としては言い易い。副作用としてはなめた言い方に聞こえるという点か。
こうすることによって「てにをは」を略している風にも聞こえる点も特徴ではあるか。
例文
「バイク乗ってどこを行かすでえ。」
(バイクに乗ってどこに行こうとしてるんだい。)
「バイク屋。オイル替ええ行くでえ。」
(バイク屋へ。オイル交換しに行くところ。)
「まめだねえ。店屋行って自分でやらすだ?」
(こまめだねえ。バイク屋で自分で作業やるの?)
「そりゃやれんで店の衆にやってもらうだよ。」
(それは出来ないからお店の人にやってもらってる。)
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ちょっかいをだす・相手をする・あやすなどと言うニュアンスの言葉。
「かまってられない」と言う風に言葉そのものは共通語であって方言ということではないが、使い方が他所の地域とは異なっているのであろうか。自覚はない。
共通語の「かまう」は関わるというニュアンスであろうが。
遠州弁は「犬をかまう」とかいう風に使うので「関わる」とはニュアンスが異なる。この場合では、あやす・じゃれる・たわむれるという相手にする仕方ももちろんあるが、棒で突くとか石投げつけるとかでも「かまう」を使うこともあり、一概にいい意味使いの表現とは限らない。
大きく言えば「相手をする」ということであろうか。
例文
「今からお出かけせにゃならんだであんたあ。よそいき汚れるで犬かまうじゃないにい。」
(今からお出かけするんだから。犬と遊んで外出着汚さないでよ。)
「だってえ。こういう時に限って尻尾振ってとんでくるだにい。いつもこん癖にい。なんでかねえ。」
(そんなこと言ってもこういう時に限って尻尾振って走ってくるんだよ。いつもは寄ってもこないくせに。どうしてだろう。)
「知らんやあ。なんしょ汚いたら怒るでねえ。」
(知らないよそんなこと。とにかく汚したら怒るからねえ。)
「犬にゆってやあ。」
(犬に言ってよそういうことは。)
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同音で、片付けると言う意味の言葉と仲間に入れると言う意味の言葉の二つがある。
漢字で表わすと、片付けるはおそらく「片す」で、仲間に入れるは多分「加担す」と想像される。もちろん根拠は無くただの想像。
「仲間に入れて」を「かたして」、「仲間に入れる」を「かたす」などと言う使い方。
例文1
「この荷物どこ置きゃあいい?」
「そこらへんおいといて。」
「おいといてってあんたあ置く場所かたさんとありもしんに。どうせすでえ。」
「ゴミじゃないけど今使わんもんばっかだで適当に寄せといてくれりゃいいよ。壊れるもんもないで。」
例文2
「わしこっちにまぜてくりょー。」
「おめえかたすともこうブーたれるで駄目でえ。」
「なんでえ随分冷たいじゃん。」
「見てみいやあ。あっち。今でさえ弱っちいだでえ?おめえこっちきたらけちょんけちょんで勝負んなりもしん。」
例文3
「部屋かたしない。どこに足おいていいだかわかりゃあせん。」
(部屋片付けなさい。どこを歩いていいのか分かりゃしない。)
「入らにゃいいじゃんか。」
(入らなければいいじゃないか。)
「そういう問題じゃありもしんにぃ。」
(そういう問題じゃないでしょ。)
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片一方・片方とか言う意味。
方言だとは思っていないが標準語でもないだろうなので一応記載。辞書とかでは「かたっぽう」という表現は載ってた。
例文
「やあ待って。靴かたっぽ脱げちってえ。」
(ちょっと待って、靴片方脱げちゃったよ。)
「慌てくさるもんで。紐ちゃんと締めんかっただらあ。」
(慌てるからだよ。靴紐きちんと結ばなかったんでしょ。)
「違うわ。どっかの馬鹿っつらあ後ろからつっかけやがって。そんで脱げただあ。」
(違うって。後ろから誰かが自分の靴踏んづけていってそれで脱げたの。)
「相手わあ?」
(誰が?)
「分からんかっただよどいつだか。踏んだ奴も気づかなんだだか知らんが後ろ向いてもみんな知らんぷりしてけつかりゃあがった。ふんとやっきりこく。」
(分かんない。踏んだ奴も気がつかなかったのか後ろ振り向いても皆俺じゃないみたいな顔してとぼけてんの。ホントむかつく。)
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「少ししかもっていない」を遠州弁にすると「少しっかもっちゃいん」となる。
「~しか」が「っか」に変わるということである。
共通語の俗語表現だと「少しっきゃもってん」となるか。
なんでもかんでもこのように変化するわけではなく
「ちっとばかっか」とは言わず「ちっとばかしか」と言う風に「しか」と「っか」は併用で使われている。使い分けについては法則があるのだろうがよく知らない。多分言い易いかどうかだとは思われるが。
「野菜しかはいってない」→「野菜っかはいっちゃいん」
「子供しか入れてくれない」→「子供っかいれちゃくれん」
「ばかり」を「ばっか」という言い方と共通性があるのだろうか。
例文
「ええよなあ、たんと持ってる衆はホント羨ましい限りだわぁ。」
「そんなこんないよぉ。わしだって少しっか持っちゃいんにい。」
「おんしゃの少しとうちらの少しは次元が違うだあれ。」
「そんないやみったらしいこんいわんだっていいじゃんか。」
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