遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「小僧」と言っている。まあ広範囲で使われる言い回しであろうが一応記載。「こんぞう」と書くのが正しいのであろうが耳で聞く限りではこう言っているので「こんぞお」と表記するほうがリアルではあるかな。
遠州弁においては普通にもけなす表現においても使われるがさすがにお褒めの表現としては使われない。
「小僧」を「こんぞう」で「小娘」はとなると「ちゃんびい」か「むっすう」かとなるのであるが
「ちゃんびい」は中傷的な使い方なので別種であろう。
男なら「こんぞう」女なら「むっすう」という並びが順当か。
「うちのこんぞお」となれば「我が家の愚息」と一応な謙遜で使われる。
「あそこのこんぞお」だと「あそこの家の悪がきは」などの「しょうもないやっちゃ」という意味合いで使われる。
同じ表現で「がき」というものがあるがそれとはどう違うのか
年齢の違いという側面もあろうか
年齢が高くなる順は悪がきといった意味の場合
「がき」<「こんぞお」<「若造」<「おっとさ」<「じいさ」
愚息という意味では
「がきんちょ」<「こんぞお」<「むっすう」<「せがれ」
といった変化であろうか。(あくまで一例)
他の違いは、「がき」は「ワル」・「物を知らない奴」という印象が付加されるところで「こんぞう」は「未熟者」・「半人前」という印象が付加されるという違いがあるようだ。
それと、「がき」は突き放した言い方でもあるので他人に対して発するのが基本であり「こんぞお」には馴れ馴れしさが伴うので基本身内に対してのものであろう。従って親しくないのに「おめえんとこのこんぞお」などと言うと「おいおい馴れなれしかないか」と思われたりすることがある。
例文
「あそこんさあのこんぞお甲子園に出るだってよ。おっとさ嬉しくてしょんないらしいに。」
「そりゃ堪らんなあ。親は応援バスとかチャーターしにゃかんとかでばかばか金飛んでくだって聞いたにい。」
「いいだよあの人見栄っ張りだで。凧ん時だってがんこな初凧あつらえてたじゃん。」
「しょっちゅう金んないっつってひゃあひゃあゆってる癖になあ。別の意味でしょんないこんだあなあ。」
「本人楽しくてしょんないだもんでいいだらあ。」
例文音声はこちら
「ごぼう」(牛蒡)と言っている。
イントネーションは「棍棒」(こんぼう)みたいな発音に近く耳だけでだと(聞いただけだと)野菜のごぼうだとは聞こえないイントネーションである。「やん某まあ某ごんぼう」とか連なるイントネーションでは無い。
表記は「ごんぼう」としているが実際口で発してるのは「ごんぼお」である。
わざわざこう言う理由はあるのかというと、親しみ(身近)表現くらいしか思い付かない。特に「ごぼう」と「ごんぼう」での使い分けや意味の違いは無いと思われる。
男女共用の言葉。これが味噌。野郎言葉ではない。
あまり話しとしては膨らまないところだが、むりやり探すと、野菜果物でこういう言い方に変わるのは他にもあるのかというのを考えてみる。
「りんご」を「りんごう」とは言わないし「いちご」を「いっちご」・「いちごう」とも言わない。「ねぎ」を「ねんぎい」というかは微妙だが「かぶ」を「かんぶう」とは言わない。「白菜」を「はっくう」とか「ごま」を「ごんまあ」とかとも言わないよな。
といった風に変わった言い方することはなさそうだ。かろうじて「芋」を「いんもお」と言う位であろうが野郎言葉であって普通遣いの表現ではない。「ごんぼう」だけはごく普通に遣われるという特別といえるのかもしれない。なんでこういう言い方をするのかというのはもちろん知らない。
「ごぼう」だとなにか同音の言葉と紛らわしいからこうなったとも勘繰れるところであるがじゃ何と紛らわしかったのだろうとなるとさっぱり浮かんでこないのである。
「我が子」と言っている。基本男表現であろう。
おそらくは「子ん坊」と書くのであろうと思われる。
「坊」で正しいのだとすると普通は男の子を指すものであるが、ネット辞書の説明には「江戸時代には女児についてもいった。」とあり、遠州弁のこの「こんぼう」についても実際性別不問で使われてることから古い「坊」の使い方が遠州ではまだ残っていて「子ん坊」と書いても「こんぼう」は男女の区別なく単に「我が子」を指すものであるという理屈が通るような気がする。
ニュアンス的には「愚息」といった感じのへりくだった言い方である。
これ以外の使い方として生き物のちいちゃいのに対しても使う事がある。
「金魚のこんぼう」・「犬のこんぼう」とかだと「赤ちゃん」という意味使いとして使われる。こちらはへりくだりもへったくれもないぞんざいな言い方でありよそ様の子に「おめえんとこのこんぼう」なんていったらムッとされること必死である。
どの使い方にしてもこの言い方はわたしらんとこでは最早死語に近く今は「がき」・「がきんちょ」・「こんぞう」(小僧)・「むっすう」(娘・息子のいづれか)・「ちび」とかいう言い方をするのが普通である。
これは競馬用語であって方言とかではないだろうと思っていたが。
よくよく考えてみれば競馬では「こずみが出る」とかであって「こづむ」とは言ってないのではないか(専門家ではないので詳しくは知らないのだが)というのと、遠州弁で「肩がこづむ」(肩が凝る)とかいう言い方を確かするよなあという気がしてきたので記載することとした。ただし、普段使いで「こづむ」は今はもう殆どしていないという過去の言い回しであろうが。
古語辞典には「こづむ」自動詞で①かいこづむ。②(肩などが)こる。とある。
「かいこづむ」は{かいは接頭語}躓いてうずくまる。傾く。=こづむ。とあった。
競馬用語を調べてみると「こずみ」で、筋肉疲労によりうっ血や歩行状態が悪くなること。みたいなことが書かれてあった。
つまりあくまで勝手な想像だが「かいこづむ」=「こづむ」の①の方は競馬用語として残っていて、②の方の「こづむ」は共通語としては死語となっているが遠州ではまだ使われているという風にも勘繰ることができる。若干「こずみ」と「こづむ」が同じであるという根拠は薄いのが説得力ないとこだけど。
ネットの辞書にある意味には遠州弁で使われてる意味合いと一致する説明はなかった。
遠州弁においてはどちらかと「こどむ」みたいな感じに近くて、血の流れが悪いとかで調子が悪くなってるような血なりリンパなりの循環が悪い印象を「こづむ」からは受ける。
もしかしたらであるが「こどむ」と「こづむ」は非常に近いのでひょっとしたら元は同じ言葉であったのかもしれないという気になってきた。
例文
「どうも最近血いこどんでるだか知らんが肩んなんかやたらくしゃこづむだよ。気のせいかなあ。それとも働き過ぎってか?」
(どうにも最近血の流れが悪いのか肩がやたらと凝ったみたいになるんだ。これって気のせいかなあ。それとも働き過ぎっていうサインか?)
「そんなおやす程がんこに仕事してもせんに。こづむだったら軽い四十肩だらあ。歳のせいだよきっと。」
(そんな悪くなるほど仕事に精出してないだろ。凝ったみたいに感じるんならそりゃ軽い四十肩だろう。歳のせいだよきっと。)
例文音声はこちら
ちょっと視点替えて
「こづむ」・「こずむ」・「こぞむ」・「こどむ」とややこしい。
「偏む」と書いて「こづむ」と読む。
普通は筋肉痛とかで動きがぎこちなくなる事を指すのであるが
「溜まる」というニュアンスで使われる事もある。これについては違和感はあるがそういう使い手も実際居る。
「泥ん下の方にこづんでる」(泥が下の方に溜まってる)といった風に。沈殿してるということ。堆積といったニュアンスであろうか。
しかしながらこれは「こずんでる」(殿んでる)であって「こづんでる」(偏んでる)は間違いじゃないのかという事も考えられる。間違いという事であれば他にも「しずんでる」(沈んでる)や「こどんでる。こぞんでる」の間違いとも読めるところであるが。
尚、「こずんでる」が「殿んでる」と書くのかどうか根拠がある訳では無い無茶当てなのであるが。漢和辞典では「殿」は、しんがり・との・どのという意で読みは、との・どの・テン・デンで「殿む」を「こずむ」と読むのは無理があるけれど。意味的はそういう意味なので勝手にそう表記してる。ちなみに「殿む」は「こぞむ」・「こどむ」であっても違和感はないところである。
まあそれはともかく以前の記事でぼかした「こずむ」と「こづむ」は果たして別か同じか。
例に挙げた「こずんでる」は「こどんでる」・「こぞんでる」の間違いもしくは同一化になったものという事も考えれば。この考えでいけば「こずむ」と「こづむ」は別物と思われる。
「偏る」(かたよる)という意味では下に偏っているともいえる訳だから「偏む」(こづむ)でええじゃないかとも考えられる。これだとどっちでもいいじゃないかと思える。
結局のところ結論は出ないが、まあ漢字で別に表わせなくもないのだとしたら別の言葉と思った方が無難な気がする。
共通語においての「こづむ」は競馬用語としてで馬以外にその状態の様を指さないらしいがとにかく存在はしてる。「こずむ」は共通語には存在してないので「こづむ」(偏む)は古語で「こずむ」は方言という考えも有り得るところでもあるし「こどむ」か「こぞむ」の間違いとも考えられなくもないという存在を疑うという手もあるか。
とにかく無難な線であれば動きがおかしければ「こづんでる」、沈殿・滞留してるなら「こどんでる」を使うというのがややこしくはない無難なところであろうか。
「よどむ」は漢字にすると「淀む」と「澱む」
「こどむ」とは普通の使い方からすると「下に溜まる」ということであるので「こどむ」を漢字にすると「澱む」というのがしっくりくる。(が、もちろんそうという事実・根拠はない)
話しがちょっとずれるが
「よどんだ空気」だとこもった空気という事になる。
「こどんだ空気」という言い方は普通しないが「空気がこどんでる」だと有り得るからあら不思議。
話し戻して「よどむ」で辞書を引くと
「澱む」{自動詞五段活用}①流れがとまったり波が立ったりしないで、動きの無い状態を保つ。②液体中の物が沈んで、底にたまる。(水がよどむは淀むとも書く)。とある。
「こどむ」も意味はまんまこの通りなので単純に「よ」が「こ」に変化したものと考えられそうではある。ただし「こどんだ空気」は普通言わないといったように使いどころについては違いはありそうである。
例文
「やあばかっつらなにするだあ。」
「部屋の空気んこどんでるもんで窓開けて入れ替えただよ。」
「勝手にすんなやあ。紙んそこらじゅう舞っちゃったじゃないかあ。」
「きちんと片づけしん方悪いだよ。」
例文音声はこちら