遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ひっつく」・「くっつく」は辞書に載ってるけど「はっつく」はない。
「はっつく」は「張り付く」の変形だろうというのは私でも分かる。
「ひっつく」(引っ付く)ぴったりとくっつく・男女が親密になる
「くっつく」しっかりとついて離れない状態になる・男女が親密になる
と、辞書にはこういった風に書かれていた。繰り返すが「はっつく」は辞書に載っていない。
「ひっつく」を江戸の人間が「しっつく」と訛るということは想像できるが
「はっつく」は一部の地域で訛ったものだとも思えない。
「はっつく」って方言なのか?ちなみに遠州では「張り付く」より「はっつく」を多く使う。
むしろ「はっつく」と言わない地域があるのだろうかという疑問が生じる。ということであるが一応遠州でも使うよということで記載。
例文
「やあ、ガムんはっついちゃっててとれやあせん。」
(あ~!ガムが張り付いちゃっていて取れないよ。)
「縁石かなんかにこすりつけりゃ落ちんけ?」
(縁石とかに擦り付ければ落とせるんじゃないの?)
「シャツだもんでそりゃ無理だあ。」
(シャツだからそれは無理なんだ。)
「どれえ、見してみい。・・・おおこりゃがんこだの。」
(どら見せてみなよ。・・おおこれは相当だなあ。)
「だらあ。もうホントやっきりこいちゃう。」
(そうだろ。もういやんなっちゃうよ。)
這いつく(ばる)が訛ったもの。という意味で使われることもある。まあこういう場合は「はっつくばる」と言うのが多いのであるが。
イントネーションが異なる。まあ全国的に分布しているので遠州特有の言葉ではない。が、遠州弁らしい感じはする。
張り付くの例文
「ガムん踏んづけて靴にはっついちってえ。とれりゃせん。」
「だからっつって犬のふんなすりつけるみたいな真似するじゃないにぃ見苦しいで。って言ってるそばから腰振って踊るじゃないっつーに。」
這いつくの例文
「コンタクト落といた。」
「はっつくばってでも探せ。」
例文音声はこちら
「BAABAA」。床屋さんだとかおばあちゃんだとか言ってる訳ではない。対象物を強弱で表わした場合に強い状態であることを指す時の言葉。とはいっても風とかの自然に対してに限定して使うのが普通であろうが。したがって風の場合だと「強くピューピュー」とでも訳せばいいのだろうか。程度としては煽られる位か。
主な使い方を考えると素直に「風が強く吹いている様」と説明してもいいのだろうけど人によっては風に限らず使用することもあるので少しぼかした。例えば水道管が破裂とかして「水がばあばあに吹き上がってる」とかみたいな。
ところでだが、「ばあばあ」という言い方が遠州弁独特かは定かではないがとにかく遠州では使ってる。誰か他所で使って通じるかどうか試して貰いたいものだ。男女共用の表現。
似たような意味使いで「だあだあ」と「だかだか」などがあるが、「だあだあ」は「際限なく」とか「きりがない」といった「処置なし」といった印象の際に使われる。それと対象物は「ばあばあ」と違って大概なものに使われる。
「だかだか」は「どかどか」と訳せ量の多さを表す場合に使われる。「どんどん」・「次々に」・「矢継ぎ早に」などという意味合いで使われることもある。「今日はだかだか人がやってくる」とか。
「風が強く吹いてる」という場合
「風んばあばあ」と言うのが普通で、強く吹いているという意図では「風んだあだあ」とはほとんど言わない。
これは「ばあばあ」が強弱を表わす表現に対し「だあだあ」は質や量とかを表わす表現であるからであろうか。
同じように「風んだかだか」の場合でも訳せば「「風がどんどん」であり「風んだかだか入ってくる」とかで使うがこれも「だあだあ」と同様に「強く吹いてる」という意味合いではない。
では次にこれを「風」でなく「雪」とした場合
「雪んばあばあ」と言えば風の吹きすさぶ中で舞う雪を指す。共通語にしたら「横殴りの雪」とかであろうか。つまりこの場合「ばあばあ」は雪に掛かっているのではなく雪景色における風の勢いに掛かっているということである。
「雪んだあだあ」となれば雪が降り続くとか大雪が降っている(積もっている)状態を指す。共通語にしたら「降り止まぬ雪」とかであろうか。
「雪んだかだか」だと降る雪の量が半端ないとか絶え間なく雪が舞っているとかを指す。共通語だったら「どか雪」とかであろうか。
「風でスカートばあばあめくれて」だとその訳は「風が強いせいでスカートが大層派手にめくれ上がりまくって」とかになる。(もちろん捲れる様を言っているので「ひらひら」とか「ふわふわ」とかいう形の訳にした方が適切なのであるがそんな生易しい状態じゃない様を指すので共通語ではそれに適した表現が見つからない。強いてあげればブワッブワッととかガバッガバッと?)
「ばあ」ではなく「ばあばあ」と言うことでより強調するという効能の他に継続性や連続性とかも表現できることになる。
例文
「やあ往生こいたわあ。」
(ああえらい目に遭った。)
「なによをどうしたでえ。」
(え?どうかしたの?)
「さっきあそこんさあでひっころんでやあ。大金入れたトランクひっころんだ時に開いちゃって札束ばあばあ舞ってまっつぁおさあれ。」
(さっきあそこで転んでしまってね。転んだ拍子に大金入っていたトランクが開いてしまって、中の札束がそこかしこに舞い散らばってしまって真っ青になっちゃったよ。)
「なによを、ゆってくれりゃあ拾いいっただに。最近小遣い少ないでやあ。」
(なんだよ言ってくれれば拾いに行ったのにい。最近小遣い少ないからな。)
「馬鹿野郎じゃん。」
(悪い冗談だぞ。)
「で、どうしたよを。」
「そりゃあ必死こいて拾い廻ったさあ。」
「全部拾えただか?」
「なんとかな。でもそん時の周りの衆らの動きなんかそりゃどばやかったにい。」
(なんとかね。でもその時の周りの連中の素早さといったらなかったよ。)
「そりゃあのっ。当然だらあここぞという時だでやあ。」
(それは一攫千金のチャンスだもの当然でしょう。)
「特にシゲさなんかあんなはしはしいごけるなら普段からせよっちゅうくらいいごいてたやあ。がめった金取り戻すにゃあ往生こいたけど。」
(特にシゲさんなんかあんなに俊敏に動けれるのなら普段からそれくらい動けよって言いたくなるくらい機敏だったよ。ポケットに入れようとしてた金回収するのに随分世話焼けたけど。)
「ほれみいわしだけじゃありもしん。」
(ほらあ俺だけじゃないだろ。)
「外でこけてたら洒落んならんかったなこりゃ。」
例文音声はこちら
「PAAPAA」。「ばあばあ」(baabaa)と同じく風とかに影響される様。何かが舞い上がってる・めくれあがってるとかいう様の程度を表わす事に使われる。ネットで検索してもヒットしないのでもしかしたら遠州特有な言い回しかもしれない。
使い方としては「風ん来て新聞ぱあぱあめくれて読めやせん」みたいな。
「ばあばあ」との違いはその強弱の違い。「ばあばあ」が煽られる叩きつけられる捲れあがるとかいう吹き飛ばされるような強さに対して「ぱあぱあ」は押される当たる捲れるといったやや強めの風を感じるみたいな感じか。
例えが不適切かもだけど、スカートが捲れる様でいうと
両手で押さえても押さえ切れないような様だと「スカートばあばあ捲れる」と言い。
抑え続けないと捲れてしまうような勢いで舞ってるような様だと「スカートぱあぱあ捲れる」などと言う。
どちらも連続した勢いになるので一瞬捲れるというのではない。
共通語で同じ用途だと「ひらひら」とか「はらはら」とか「ぶわぶわ」とかになるのであろうか。強弱の順だと(私見であるが)
弱 はらはら<ひらひら<ぷわぷわ<ぱあぱあ<ぶわぶわ<ばさばさ<ばたばた=ばあばあ 強
ってな感じか。まあちょっといい加減だったかなでもまあ大体これくらいだろう多分。「ぱあぱあ」と「ぶわぶわ」とは近い感じがしてるけど微妙にニュアンスが異なる。それとも「ぱたぱた」くらいでいいのか。
だとしたら大雑把に説明するには「ぱたぱた」・「ばたばた」が遠州では「ぱあぱあ」・「ばあばあ」になるとしとけばいいのかな。細かくいえば違うけど。
例文
「今日は風強いなあやあ。」
「ほんとだよを。埃んぱあぱあ舞っちゃって眼え開けてれんわ。」
「眼鏡しててそんなちっこい眼でも駄目けえ。」
「ひどいことゆうやあ。」
例文音声はこちら
「ばらばら」の度合いを強化した言い回し。方言というより全国的に使われている俗語であろうが遠州では結構頻繁に使われるので記載。男女共用。
例文
「厭だやあ めざましがあ。」
「なにい どうしたでえ。」
「分解されてるう。多分ター君だあ。はあもうばんらばらだよを。」
「どれ見してみい。あ~あっ。こんだけ ばんらばらに されると はあもう どおしょおもないなやあ。」
「しっかしまあ がんこにやってくれたじゃん。どうすりゃこんなんなるよを。」
「知らすけえ。子供のやるこんだで半端ねえだら。」
「こんだけ器用だとある意味才能だかいねえ。」
「皆そうだって、大人んなりゃ忘れるけどな。」
「なによを経験あるう。」
「ガキの時分おんなしようなこんして しょっちゅうどんじかられてただよ。それが今じゃあ全然不器用の部類だもん。」
「ところでさあ。こおゆうのってやっぱ叱った方がいいだかいねえ。」
「そりゃそうだらあ。」
例文音声はこちら
「散々」を「さんざっぱら」というのに近い「ばらばら」を「ばんらばら」にするという言い方。遠州お得意の強調する際の「ど」・「馬鹿」をつけるにはざらつきがあるような言葉の場合にこういう変化をするのではなかろうか。むろんお構い無しに「馬鹿散々」「馬鹿ばらばら」というような言い方も存在する。
「ばんらばら」にする効能は「ばらばら」具合が凄いというニュアンス以外にもひどいよなあとか随分だよなあとか目も当てられないとかいう呆れるニュアンスも含ませることが出来るところであろうか。
したがってまだ「ばらばら」なら元に戻せそうだけどこれが「ばんらばら」だともう無理だどうしようもないって思ってる勢いになるということ。
追記
まあ「バラバラ」ということで特に方言とうことではないのであるが、遠州弁における使い方として、こう表現することで「もう嫌」的な呆れてる感が加味される効能を有することになる。男女共用表現。
「ばらんばらん」という表現もあるがこちらのニュアンスは第三者的とか見放したみたいな突き放し感が増す。
より冷たさを追加するには「ばらっばら」を使うことが多い。この場合怒りの感情が多少こもり気味に聞こえることがある。
ただしいずれも遠州弁におけるニュアンスの説明であり共通語のニュアンスを説明してる訳ではないのでお間違いなきよう。
例文
「運動会どうだったよを。」
(運動会どうだった?活躍できた?)
「全然。」
「なに出たよを。」
(なにに出場したの?)
「ムカデ競争とか。」
「勝てなんだだ。」
(勝てなかったんだ。)
「だってさ~あ、みんなばんらばらで前 進みゃせんだもん。」
(だって皆バラバラで前に進まないんだもの。)
「普段から仲良くしとかんもんでばらんばらんなるだにい。」
(普段から仲良くしておかないからそうなるんでしょうに。)
「元からばらっばらだもん。こんな時に備えて仲良くしまいなんて無理に決まってるじゃん。」
(最初っから合わないんだからこういう時に備えて仲良くしとこうなんて無理な話しなの。)
「大人んなりゃあ好き嫌いでつきあいとか選べやせんくなるだでちったあ訓練とかしといた方がいいにい。」
(大人になったら好き嫌いで付き合いとかは選べなくなるんだから今のうちから馴れるようにしといた方がいいと思うよ。)
例文音声はこちら
「落雁」の事。厳密に言えば「白雪糕」(はくせつこう)という干菓子で「う」が飛んで「つ」が縮んで「はくせっこ」と呼ばれるようになったらしい。しかもこう呼ぶのは遠州独特らしいと色んなとこで書かれてあったので多分そうなのであろうか。そういやあ考えてみたら子供の時分「落雁」なんて呼ばれるもの食ったことなかったものなあ。
「落雁」と「白雪糕」とでは製法が違うので「落雁」の事と説明するのはおかしいのであるがパッと見は似たようなものなのでまあいいかあということで「落雁」と説明した。それに違いなんて誰も知る由もなかったので「落雁」であろうとも「はくせっこ」と呼んで済ませていたのかもしれないだろうし。
食べた感触はとにかく口の中がパサパサしてきて、口の中の水分全部吸われちゃうんじゃないかと思えるくらい飲み物とセットでなければ食べきれるものではなかった記憶がある。
甘さは子供心にも甘ったるいと感じた程のものを食したので印象としてはかなり甘いものと記憶している。ただし昔砂糖を鯛のおかしらみたいな形に整えて詰められてた贈答品というものが盛んだったのでそれと記憶が混同しているのかもしれない。なにせガキの時分は甘けりゃなんでもよかったんで。チクロやサッカリンでもとんじゃかなかったくらいだから。
それはともかく「はくせっこ」は見た目がけっこいお上品なものなのでとにかく口に入ればいいやと思ってるようなガキのおやつとかじゃなく縁側で野良着のままの一服用茶請けとかな代物でもなく結構なお手前で点てられたお茶を一服する際に食する代物とかお祝い用の品なのだろうと思う。食す機会はお雛さまで供えられた後に飾り終えた後のお下がり頂戴辺りだったかな。
どうりで殆ど食べたという記憶が少ない訳だ。駄菓子屋とかで売られていたんだろうか。あっても手を出さなかったんだろうか。全く記憶にないところである。
砂糖の贈答品と混同してるかも書いたが、混同といえばある時期「白い石膏」を「はくせっこ」と言うものとも混同してたというのもあったやも。そんなの私だけか。
そんな脱線話しはともかく「はくせっこ」、昔懐かしな呼び名なのか今もなおここいらではそう呼ばれているのかは知らないが、この間スーパーでひな祭り用ということで売られてたであろう「はくせっこ」らしきお菓子があってその品名を見たら「落雁」と記されてあった。