遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
バンバンCmで流れてるしぞーか方言かるた。そのCmで紹介されてる言葉。(尚これはカルタに対する批判の記事とかでは決してありません。)
遠州ではまったく使わないので意味が判らない。
「お調子者」と訳されていたがどういうニュアンスなのか判らない。
つまり、すぐ「のぼせあがる人」なのか「図に乗る人」なのか「風見鶏な人」なのか「気分屋な人」なのか「おだてに弱い人」なのか「どこでも能天気」なのかとか。どういう「お調子」なのかその種類がね。
かるたでは酔っ払いが路上で踊ってるという絵柄だったけど遠州であの人物を指す場合路上という場所をわきまえないということを言いたいなら「馬鹿」・「ひょんきん」とかで度が過ぎて迷惑千万とかなら「きちがい」など。恥知らず恥さらしということを言いたいなら「ついてけん」・「ど恥ずかしい」とかになるかな。単にご陽気ということなら「浮かれてる」・「今日どうしたでえ」辺りであろうか。のり過ぎだと「ぶんぶん」・「いっちゃってる」近辺か。「ちょーける」・「ちょびちょびする」って言い方も遠州にはあるらしいが私は使わないので使いどころがよく分からない。
とにかくまったく使わない言葉なので「おだっくい」って大抵の遠州人は必ず「なにそれ?」と聞き返すことになろう。「オタ」(世迷言)でも「食う」のかな?今川の地元だから「織田」を「喰う」ってのは妄想しすぎだよなやっぱ。まあとにかく判りません。
蛇足だけどCmついでで言うと、「ぶしょったい」の一句。字あまりというか字足らずというか。私だったら
「ぶしょったい そんなかっこで どこ行くよを」
「ぶしょったい そんななりして そと出るだ?」
くらいにするかな。根拠がある訳じゃないけど「ぶしょったい」は「あんたなによをその格好。ぶしょったい。」みたいな先ず何がというのとかを述べてから放つ言葉という使い方が多いので頭に「ぶしょったい」を持ってくるのは苦労するところだろな。せめて「もう」とか「なによを」とかが頭にのればなのだがせんないことか。ぐでぐでなところでは
「どぶしょいら そんななりして 馬鹿ぶしょい」
と連呼するってのもひとつの手ではあるかな。
いづれにせよ、そのカルタ買ってないからCmでしか知らないけれど、まああれは「しぞ~か」つまり「駿河」のカルタであって遠州じゃねえよということで迷惑千万余計なツッコミなんだろうなきっと。失礼しました。決して商売の邪魔する意図ではありません。むしろバンバン売れて、「ほんじゃ遠州でも出さまい」とかいう機運になってくれる起爆剤になって欲しいと思ってます。
遠州弁に限った話しではないのかもしれないが、方言の話す先(相手)は一人に対してというのが基本の姿勢だと思う。
もちろん少人数に対しても対応可能ではあるが、確実に言える事は壇上の上に立って改まって不特定多数の人々に向かっては放つものではないという事。
よく普段は方言使うのにじゃあブログに書こうかとなると上手く出てこないというのはそういう意識の問題なんだろうなきっと。誰が見てくれるか分からないという不特定多数に向けてという意識が出てくるから書けないんだろうな。
それともうひとつは、書き言葉と話し言葉は異なるものでありまして。
話し言葉は感情を伝えるもので
書き言葉は心情を表わすものでありますからして
まあそのぉなんと申しましょうか。方言は話し言葉でありましてで。
ブログという書き言葉の領域で述べたところでどこまで伝わるものやら。
ということからうまく書けないんだろうなきっと。まあ単にわかりづらい文章書いてるいい訳なんですけどね。
やはり読むことからよりも聞くことからでなくちゃいけないんだろうなきっと。音声付のブログとかにするのがいいんだろうなきっと。能がないから無理だけど。
暇は好きでもいいことでもないからそんなの無意味で目くそ鼻くそな比較だと言われてしまえばそれまでの話しであるが。遠州弁のニュアンスとしてこの違いは存在するのかどうかという考察。あくまで個人的な推察なので根拠はござんせんし一考ですので正しいとは限りませんのでご注意あれ。
招かざる暇だと「どひま」であろうか。仕事中することがないとかには「どひま」だと商売の先行きが不安に陥る感じになるが、「ばかひま」なら今日はついてるみたいな能天気もしくは自嘲気味に言えてる感じがする。
もちろんホントは好きなくせにお前なんか嫌いだあと言ってしまうようなのと同じでホントはほっとしてるのに「どひま」と言うこともあろうがここではそういった使い方は省く。
休みの日になにもすることがなく家でぼーっと無為に過ごしている時などは「どひま」を使うことが多いのではなかろうか。
「家でばかひましてる」と言うのと「家でどひましてる」とだと
「ばかひま」はそれなりにやることもあるのだけどヤル気なしであるがかといって他にする(したい)こともないといった勢いで、こんな時に誘われたら「じゃあ行こうかな」といった勢い。
「どひま」だとなんかやりたいヤル気はあるがやることが見つからないという勢いを感じる。こんな時に誘われたら待ってましたと「行く行く」ってな感じ。
これらのことから
「どひま」はあまり有難くない状態である。ヤル気はそれなりにあるのにという空回り状態。飽き飽きしてる印象を受ける
「ばかひま」は暇な状態をある意味許容してる。ヤル気が薄い待機状態。とりあえず様子見という不動な印象を受ける、
という場合に使い分けられているのではないか。これに「がんこ」・「えらい」・「滅茶」・「目茶」・「やたら」・「なんか」・「いやに」・「相当」・「大分」とかを含めるとこんがらがってしまうので比較しないけどとにかく「暇」にも色々と種類はあるものである。
もちろんあくまで「暇」に限ってのお話しで「ど重い」と「ばか重い」との比較とかにおいては決して成立しない特殊な「ど」と「ばか」の使い分けの話しである。
で、この違いというか使い分けを遠州人はどうしてるかという考察。もちろん無法であり決まりがある訳ではないので各自それぞれであるが。
例として「寒い」(さぶい)で考えてみる。
「どさぶい」。
ひたすら寒いといった印象。つまり寒いことに対して別の感情とかはない感じ。まあ強いて挙げれば堪えているという印象が加味されるであろうことか。
「ばかさぶい」。
「ばか」という表現には頭に来るというニュアンスが含まれており、「ばか」を使うことによって寒いことに苛立ちを覚えてるとかいやんなっちゃうとかいう別の感情を有している印象を受ける。
つまり「どさぶくて怒れて来る」という言い方よりも「ばかさぶくて怒れて来る」という方が多いのではないか。
同じように「どさぶくてしぬ」だと「寒さにもう耐えられない」と嘆いているという感じになり「ばかさぶくてしぬ」だと「寒すぎてやってられない(いられない)」と愚痴をこぼしている感じになると思われる。
ということで、体感温度とかが何℃くらいは「ばか」で何℃以下だから「ど」となるなどという区切りをつけての使い分けではなく、あくまで「寒い」ということに対する心持ちの違いで使い分けられているということであろう。
ちなみに「ばか」の上は「くそ」であろうか。ムッとしてるかムカッときてるかの違いみたいな。
これらの屁理屈は他の場合でもほぼ同じかと思われる。「暑い」とかでも「眠い」とかでも「痛い」とかでも。
例文
「いやあどっさぶいやあ。」
「どさぶいどころじゃありもへん。くそさぶいわあ。」
「風もばあばあだし。今日ホント寒いにい。」
(風も相当吹いてるし今日は本当に寒いよ。)
「こんな日外出たら死ぬらあ。」
(こんな日に外に出たりなんかしたら凍え死ぬだろ。)
「分からんよを。試しいジュース買い行ってみい。あっホットね。」
(どうかなあ。試しにジュース買いに行ってみなよ。あっホットで宜しく。)
「やなこってえ。」
(冗談じゃない。)
あくまで個人的意見です。多少何言ってるんだという内容でありますが。
「ら」抜き上等。と別の記事で書いたが「てにをは」抜きが顕著なのも遠州弁の特徴ではないか。まあ厳密には抜き(はしょり)ではなくて変形なんですけどね。
そうしておいて→そうしといて
買いに行く→かいいく・かいいいく
道を聞く→道聞く
絵を描かせたら凄く上手い→ええかかしゃ馬鹿じょうずい
今日は晴れたので→今日晴れたで
そういう事は先に言え→そんだだこたあ先んゆえ
もちろんゼロには出来ないが削れるものは削る。
ではどうやってバランスを保っていくかというと。
それは語尾を伸ばすことによって成り立たせている。
「買いに行く」を「買いい行く」・「絵を描く」を「ええかく」とするのがその例。「道を聞く」を「道い聞く」という言い方もする。
伸ばすだけでなく
「面白味がない」を「面白味んない」としたりもする。もちろん「面白味いない」という言い方もアリ。「人に聞く」を「人ん聞く」・「人聞きが悪い」を「人聞きん悪い」というのもあるか。「気が触れる・気が狂う」を「気い触れる・気い狂う」とかもそうかな。
「そうだと言ってた」を「そうだっつってた」みたいな「っ」になるのも同じ屁理屈からくるものであろうか。まあこれは「~と言う」が「~つう」になるので理屈が違うか。
いずれにしても抜くのは「ら」だけじゃないというのは間違いないだろうというのが遠州弁。
例文
共通語「私も行ってみたいと思っているのですが、機会がありませんでした。今年はぜひ時間を作って出かけていこうと思っています。」
「それはぜひそうなされた方がいいと思いますよ。実物を見るのはまた格別なものですからね。」
遠州弁「わしも行きたいやあたあ思ってるだけえがなんしょ機会んなくてやあ。だもんで今年ゃなんしょ時間作らかいて出かけすつもりなんだわあ。」
「そりゃ絶対そうした方いいって。ほんもん見るなあやっぱ格別なもんだでねえ。」