遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
より遠州弁っぽくするには「めえれる」・「めえれえせん」とすればだあだあ感が増す。
大雑把に訳すと「見る事が出来る」と「見る事が出来やしない」という意味になる。
「見えなくて」は「見えんくて」・「めえせんくて」・「めえやへんくて」
「見えん」は「みえん」・「めえん」
とかが使われることが多い。
例文
「どうでえ。めえるけえ。」
(どう?見える?)
「今人居んでチャンスとかゆうとったけど全然だわあ。めえやせん。」
(今混んでいないからチャンスだよとか言われたけど全然見えないよ。)
「なんでめえれせんよを。人いんじゃんゆったとおりにい。」
(どうして見えないの。人は言ってた通りいないじゃないか。)
「人いんくたって肝心の動物小屋ん中入っちゃっててめえれやせん。」
(人がいなくたって肝心の動物が小屋の中に入ってちゃ見れないよ。)
「餌くれりゃ寄ってくるらあ。」
(餌あげれば世ってくるんじゃないの?)
「餌やっちゃかんって書いてあるにい。」
(餌はあげないで下さいってかいてあるよ。)
「じゃどうするよを。」
(それじゃあどうすんのさ。)
「しょんないじゃん。」
(どうしようもないだろ。)
「気持ち悪い」を略した言い方で方言でもなんでもないのであるが、遠州ではいい歳した大人でもうちうちでは使うくらい定着している感がある。これは多分に言い易いからであろう。
他の地域ではどうなのかは知らないが、遠州では「気色悪い」という意味合いで使われることが多く、吐き気を伴うような体調的な「気持ち悪い」とは異なる使い方をしている。
別の省略した表現で「きもい」・「きしょい」というものがあるがさすがにここまでくると人それぞれに言葉から受ける印象が異なるので定着しているという感じにはなっていない。
下記の例文での「きもるい」は「ぶしょったい」という言い方でも成立するがぶしょったいの上を行く様相という風に解釈していただければありがたし。
例文
ガキ「ちょっとでかけてくるでねえ。」
(ちょっといってくるからね。)
母「なにいその格好。どこいくにしたって馬鹿きもるいにい。やめない。」
(何?その格好は。どこにいくにしても凄く気色悪い。やめなよ。)
父「いいじゃん本人気にいってるだでやらしときゃあ。」
(いいじゃないか本人気に入ってるんだからやらせとけば。)
母「なにゆってるよを。この格好で外出るっつってるだにい。」
(なに言ってるの。このなりで外行こうとしてるんだよ。)
父「いいじゃん別に恥ずかしい思いするの本人だもん。懲りればはあしんくなるらあ。」
(いいじゃないの恥ずかしい思いするのは本人なんだから。これに懲りてもうしなくなるだろう。)
母「馬鹿こいちゃかん。あの家は親んなにしてるだあっつって馬鹿にされるだでねえ。身が細るわあ。」
(冗談言わないでよ。あの家の親はどうかしてるぞって思われて肩身が狭くなるんだから。)
父「いいじゃん痩せる思いできすならダイエットんなるらあ。」
(好都合だろ痩せる思いでるんならダイエットになるだろ。)
母「ぶっ殺す。」
遠州は国名又は地域の名称である。地名・都市名ではない。しかし川や湖を跨ぐと同じ遠州でも言葉が少しづつ異なる。だからといって浜松弁磐田弁とかいう人はいない。微妙な違いはあってもみんな遠州弁という。微妙な違いに関しては方言・訛りとは呼ばず「ことば」と呼ぶことが多い。掛川の言葉・湖西の言葉とか言う風に。
隣国はどうかというと静岡は駿河弁というより静岡弁と言う事が多い。他県の方から見たら静岡弁は静岡県全域での方言と思われるであろうがそうではない。
名古屋は愛知弁でも尾張弁でもなく名古屋弁と言うことが多い。
三河は遠州と同じ国名で三河弁といわれることが多い。三河も愛知県なのだが尾張ではないからだろうか。
尚、いつも書いてるが長野県とは隣接してるのだが交流がほとんどないので皆目分からない。
例文
「なんか聴きなれん言葉使うよをな気いいせるだけど。あんたどこの衆よを。」
(なんか聞きなれない言葉使うような気がするんだけどどこの出身?)
「今浜北におるだけえが、在所は掛川。」
(今は浜北に住んでるけれど実家は掛川。)
「ああほんとにい。掛川の言葉けえ。ぞんぐりしちゃうとかここらじゃあんまし使わんけど掛川けえ。あっそう。」
(ああそうなんだ。掛川かあ。ぞんぐりとかここいらじゃあまり使わないからさあ。掛川なんだ。ふ~ん。)
「塩梅」が遠州弁ということではないのだが使い方について。(按配・案配・按排と書くこともあるそうだがそれについては触れていません。)
関西で使われる表現「あんじょうよろしく頼んますわ」。
遠州では「なんしょあんばいよを頼むでねえ」とかになる。
だからといって「あんじょう」=「塩梅」と言い切れるかどうかは疑わしいところに思える。
意味的には「何卒よしなに」ということではほぼ似たり寄ったりであるが、「いい塩梅」とは言うが「いいあんじょう」とは言わないから使い方が必ずしも同じ場所で使われるものではなかろうて。
そもそも「あんじょう」は漢字でどのように書くのか。辞書によると「味良くの変化」と書かれている。
塩梅はバランスというか加減をきちんとしてくれだから良くも悪くもある訳で、あんじょうは良くしてくれと言うことだから良いはあっても悪いはないと思える。
言えることは遠州では「あんじょう」という言い方はそう言われれば意味は理解出来るが使うことは殆どしない。
例文
「湯う沸いてるけえ。」
(お風呂沸いてるかい。)
「はあ火い点けてからだいぶ経ってるで沸いてるらあ。」
(もう焚いてから大分経ってるから沸いてると思うよ。)
「水じゃねえらなあ。」
(水じゃないだろうねえ。)
「んなこたねえらあ。あんばいいいかちんちんかどっちかじゃないの?」
(そんなことはないでしょう。丁度いいか沸き過ぎかどっちかだと思うよ。)
「そんなどいい加減なあ。勘弁してくりょ。」
(そんな大雑把なあ。勘弁してくれよ。)
「熱かったらうめりゃ済むこんじゃんひゃあひゃあゆわんの。」
(熱けりゃうめれば済むことでしょうに。ぶつくさ言わない。)
「面倒じゃん。」
(面倒臭いなあ。)
「甘えちゃかん。」
(甘えるでない。)
A「やあ おんしゃ なにょう こいて けつかる だあ」
(おいおいなにを言ってるんだ)
全て遠州弁という表現を考えるとこれが頭に浮かぶ。
だからとゆうてこれが遠州弁を代表する言い回しと言うのは切なかろうて。
誤った事を言っているのだが
B「つって やっぱ なっぱ はっぱ だった じゃんかあ」
(だからやはり菜っ葉は葉っぱじゃないか)
というのも遠州弁っぽい言い回しである。
色んなところでよく使われてる遠州弁っぽい言い回しとしては
C「ぽんぽんで ちゃっと とんできゃ どんばやくに つくにい。」
(オートバイで急いで行けば物凄く早くに着くよ。)
とかいった類をよく見る。しかしながらAとCはどちらかというと野郎言葉で女子が使う表現ではない。
因みにAを女子表現にすると「ほい、あんたぁ何寝言ゆってるよを。」
Cの場合には「ぽんぽんでちゃっといかしゃがんこ早くに着くにい。」
とかになる。(あくまで一例だが)と、言う風に遠州弁には野郎言葉と婦女子言葉それに男女兼用表現とが存在しており、正しいかどうかはともかくとして実際使ってる言い回しに沿った説明をするとなるとこれらをはっきりとしておかなければならない。色んなところで紹介されてる遠州弁の説明はそういう点に若干開拓の余地があるだろうと踏んでいる。
Bのように男女兼用の表現だけを選別して紹介すると言う手もあるがいまのところとりあえず思いついたものを記事にあげつらってるだけでひーこら言ってる現状である。
そのうち出し尽くしたかなと思えてきたら以前の記事を修正・補足していきたいと考えておりますので前読んだ時と内容が少し変わってると言うことがあるやもしれませぬのでご承知置き下さい。